犬が鼻水が出る原因は?考えられることと動物病院で伝えたいポイント

犬に鼻水が出る原因は?考えられることと動物病院で伝えたいポイント

犬に鼻水が出るときは、色だけでなく、片方の鼻だけか両方か、くしゃみ・咳・呼吸の苦しさ・鼻血・顔の痛みや腫れがないかを一緒に確認することが大切です。

透明な鼻水でも、量が多い・何日も続く・くしゃみが止まらない場合は、鼻炎、異物、感染、歯の病気などが関係していることがあります。黄色や緑色、血が混じる鼻水では、より詳しい確認が必要です。

 

鼻水の色だけで「風邪」「細菌感染」と決めつけず、呼吸状態と片側・両側の違い、急性か慢性かを確認してください。

鼻水と呼吸状態から緊急性を確認する

鼻水そのものより、呼吸ができているかが最優先です。VCA Animal Hospitalsでは、鼻水やくしゃみが続く場合は受診を勧め、呼吸困難や息苦しさがある場合は救急受診を勧めています。

【すぐ動物病院へ連絡したいサイン】

  • 呼吸が苦しそう
  • 口を開けて苦しそうに呼吸している
  • 舌や歯ぐきが青紫・灰色っぽい
  • ぐったりして反応が弱い
  • 顔が急に腫れた
  • 大量の鼻血が出る、止まりにくい
  • 異物や薬品を吸い込んだ可能性がある

呼吸が苦しそうな場合は、鼻水の原因を自宅で調べ続けるより、犬を興奮させず速やかに受診してください。

鼻水が出るとき自宅で確認したい7つのポイント

鼻水では、片側か両側か、呼吸状態、発症時期、ほかの症状を組み合わせて受診時の情報を整理します。

1|片方の鼻だけか両方か

片側だけの鼻水と両側の鼻水では、原因を考える手がかりが異なります。

Merck Veterinary Manualでは、急に始まった片側性の鼻水と顔を気にする動作は鼻腔内異物を示唆する所見の一つとしています。また、慢性の鼻水が最初は片側で、後に両側へ広がる場合には、真菌性疾患や腫瘍なども鑑別に入ります。

ただし、片側・両側だけで病名を決めることはできません。

2|鼻水の色と性状

透明でさらさら、粘りがある、黄色・緑色、血が混じるなどを確認します。

Merck Veterinary Manualでは、鼻汁は透明な漿液性から粘液性、膿性、血性までさまざまで、炎症や組織損傷の程度などによって性状が変わるとされています。

3|いつから続いているか

急に始まったのか、何週間も続いているのかを記録します。急性と慢性では考えられる原因や必要な検査が変わります。

4|くしゃみがあるか

鼻腔への刺激があるとくしゃみが増えることがあります。散歩直後に急に激しくくしゃみを始め、片側の鼻水や顔を気にする様子がある場合は、草の種などの異物も考えられます。

5|咳があるか

鼻水と咳が同時に出る場合は、上部気道だけでなく呼吸器全体の状態を確認する必要があります。咳の頻度や、運動・夜間との関係も記録します。

6|呼吸が速い・苦しそうではないか

安静時にも呼吸が速い、胸や腹を大きく使って呼吸する、口を開けたまま苦しそうにする場合は、鼻だけの問題と考えないようにしてください。

7|元気・食欲が落ちていないか

鼻水に加えて、ぐったりする、食べない、発熱が疑われるなど全身状態の変化がある場合は受診を検討します。

犬に鼻水が出る主な原因

鼻水は多くの病気でみられる症状です。Merck Veterinary Manualでは、鼻炎・副鼻腔炎の原因として感染、刺激物、異物、真菌、慢性炎症、歯の病気、腫瘍などを挙げています。

鼻炎・感染症

急性の鼻炎では、ウイルス感染などが関係することがあります。犬では細菌性鼻炎が単独で起こることは一般的ではなく、別の鼻疾患に続いて二次的に起こることがあります。

そのため、黄色や緑色の鼻水だけを見て「細菌だから抗菌薬」と自己判断することはできません。

鼻の中の異物

草の種、植物片などが鼻腔内へ入ると、急なくしゃみ、片側の鼻水、顔を前足で気にするなどの症状が出ることがあります。

異物が見えない場合でも鼻の奥に入り込んでいることがあるため、ピンセットなどを鼻へ差し込んで探さないでください。

刺激物

煙、ほこり、刺激性ガスなどを吸い込むことで急性鼻炎が起こることがあります。掃除用品やスプレーなどを使用した直後に症状が出た場合は、使用した製品を記録しておきます。

真菌性鼻炎

犬ではアスペルギルスなどによる真菌性鼻炎がみられることがあります。慢性の鼻水、鼻血、顔まわりの痛みなどがみられる場合があります。

歯の病気

上あごの歯根部の病気が鼻腔や副鼻腔へ影響し、鼻水の原因になることがあります。口臭や歯の異常がある場合は、その情報も伝えてください。

腫瘍

慢性の鼻水や鼻血では、腫瘍も鑑別の一つです。Merck Veterinary Manualでは、鼻腔腫瘍では慢性の鼻汁が多く、最初は片側性で後に両側性となることがあり、くしゃみや鼻血を伴う場合もあるとしています。

ただし、慢性鼻水=腫瘍という意味ではありません。慢性炎症、真菌、異物、歯科疾患などとの区別が必要です。

鼻ダニなどの寄生虫

犬の鼻腔内に寄生する鼻ダニでも、くしゃみ、鼻水、鼻血、顔をかくなどの症状がみられることがあります。日本を含む複数地域で報告されています。

透明な鼻水なら様子を見てよい?

少量の透明な鼻水が一時的に見られ、犬が元気で呼吸も普段どおりなら、短時間の経過観察ができることがあります。

ただし、VCAでは鼻水が継続する、量が多い、鼻の周囲に固まるほど出る場合を受診目安としています。

【透明でも受診を考えたいケース】

  • 何日も続く
  • 量が増えている
  • 激しいくしゃみが続く
  • 片側だけ続く
  • 顔を痛がる・気にする
  • 咳や元気消失など他の症状がある

黄色・緑色の鼻水は色だけで原因を決めない

黄色や緑色の鼻汁は炎症細胞などが混じっている可能性がありますが、色だけで一次性の細菌感染と判断することはできません。

Merck Veterinary Manualでは、犬の原発性細菌性鼻炎はまれで、別の鼻疾患に伴う二次感染として起こることが多いとしています。

市販薬や余っている抗菌薬を自己判断で使用せず、原因確認を優先してください。

鼻血が混じる場合は確認項目を増やす

鼻水に血が混じる場合は、鼻腔内の炎症や異物、外傷、真菌性疾患、腫瘍などに加え、血液凝固異常など全身性の原因が関係することもあります。

大量に出る、止まりにくい、ぐったりする、歯ぐきが白いなどの状態では緊急性が高くなります。

鼻血があるときに伝えること

  • 片方か両方か
  • いつから・何回出たか
  • 出血量
  • 外傷の可能性
  • 薬やサプリの使用
  • ほかの場所からの出血がないか

自宅でやってよいこと

  • 鼻水の色・量・片側/両側を記録する
  • くしゃみや呼吸の様子を動画で残す
  • 室内の煙・強い香り・スプレーなど刺激物を避ける
  • 鼻の周囲についた分泌物を優しく拭く
  • 元気・食欲・飲水・呼吸状態を確認する

鼻の入口に付いた鼻水を清潔にすることと、鼻の中を洗浄することは別です。

鼻水が出るときに避けたい対応

【避けたいこと】

  • 人用の点鼻薬や風邪薬を自己判断で使う
  • 余った抗菌薬を使う
  • 鼻の奥へ綿棒やピンセットを入れる
  • 異物を無理に取ろうとする
  • 強い香りの製品で鼻周囲を拭く
  • 呼吸が苦しいのに自宅ケアだけで様子を見る

鼻水で受診したときに行われる主な検査

検査内容は、急性か慢性か、片側か両側か、鼻血があるか、顔の痛みや変形があるかなどで変わります。

検査・確認 目的の例
身体検査 鼻、口腔、歯、呼吸音、全身状態を確認
血液検査 炎症、貧血、全身状態などを必要に応じて評価
画像検査 鼻腔・副鼻腔・歯などの状態を確認
CT 慢性鼻疾患で鼻腔内を詳しく評価
鼻腔内視鏡 異物・病変の観察や組織採取
生検・組織検査 腫瘍・炎症性疾患などの確定診断

Merck Veterinary Manualでは、慢性鼻汁ではCT、鼻腔内視鏡、鼻生検などが診断に用いられます。すべての犬にすべての検査が必要なわけではなく、症状と経過に応じて選ばれます。

鼻水で受診するときに伝えたいこと

受診前メモ

  • いつから鼻水が出ているか
  • 片方か両方か
  • 透明・粘液状・黄色・緑色・血性などの性状
  • くしゃみの回数と始まり方
  • 咳や呼吸異常の有無
  • 顔を気にする・痛がる様子
  • 食欲・元気の変化
  • 散歩中に草むらへ入ったか
  • 煙・スプレー・薬品などへの曝露
  • 歯や口臭の変化
  • 現在使っている薬・サプリ

鼻水を拭く前の写真や、くしゃみ・呼吸の動画があると、診察時に状態を伝えやすくなります。

犬の鼻水は色だけでなく片側・両側と呼吸状態を見る

犬に鼻水が出たときは、透明・黄色・緑色・血性といった色だけでなく、片側か両側か、急に始まったか長く続いているか、くしゃみ・咳・顔の痛み・呼吸異常がないかを確認します。

呼吸が苦しい、鼻血が多い、顔が腫れる、ぐったりする場合は、自宅で原因を推測し続けず受診を優先してください。

鼻水が続く場合は、単純な感染だけでなく異物、慢性炎症、真菌、歯の病気なども含めて確認する必要があります。症状の経過と写真・動画を準備し、動物病院で具体的に伝えましょう。