犬が水を飲まない原因は、単に水分の多い食事を食べていて器から飲む量が減っている場合から、口の痛み、吐き気、発熱、脱水、腎臓病などで飲みたくても飲めない・飲んでも保てない場合までさまざまです。
そのため、「何mL飲んだか」だけで原因を決めず、食事内容、尿の量、嘔吐・下痢、口の痛み、元気、体重変化まで一緒に確認してください。
水を飲まないうえに、ぐったりする、何度も吐く、意識が鈍い、尿がほとんど出ない場合は、原因を自宅で探し続けず早めに受診してください。
まず「水分を取っていない」のか「器から飲まない」のかを分ける
Merck Veterinary Manualでは、犬に必要な水分量は食事、環境、活動量、健康状態によって変わるとされています。
特にウェットフードは水分を多く含むため、ドライフード中心の犬より水皿から飲む量が少なくなることがあります。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 主食 | ドライ、ウェット、手作り食など |
| 食事の水分 | フードへ水を加えているか |
| 水皿 | 実際に減っている量 |
| 尿 | 回数・量が減っていないか |
水皿から飲む量だけでは、総水分摂取量は判断できません。
水が古い・器や場所が気に入らない
病気ではなく、環境の変化で飲水量が落ちることもあります。
- 水が汚れている・ぬるくなっている
- 器を変えた
- 給水器の音を嫌がる
- 水皿の場所を変えた
- 他の犬に近づけず飲めない
- 首を下げにくい高さになっている
新鮮な水をいつでも飲める状態にし、普段使っていた器や場所へ戻して変化を見る方法があります。
活動量・気温が下がって飲む量が減ることもある
涼しい日、散歩量が少ない日などは、暑い日や運動量が多い日より飲水量が少なくなる場合があります。
Merck Veterinary Manualでも、水分要求量には環境と活動量が影響するとしています。
ただし、季節変化だけで急激な飲水低下を説明せず、尿・食欲・元気も合わせて見ます。
口・歯・舌・のどの痛みで飲めない
口内炎、歯周病、折れた歯、舌や口腔内の傷、のどの痛みなどがあると、水を飲む動作自体がつらくなることがあります。
Merck Veterinary Manualでは、口腔疾患や外傷で食べる・飲み込む機能が障害されると、栄養不良や脱水につながることがあるとしています。
- 強い口臭
- よだれが増えた
- 水皿へ行くが飲まない
- 口を気にする
- 食べ物を落とす
- 口元を触ると嫌がる
痛がる犬の口を無理に開けて確認しないでください。
吐き気・胃腸の不調で飲みたがらない
胃腸炎、異物、腹痛などで吐き気があると、犬が水や食事を避けることがあります。
Merck Veterinary Manualでは、消化器疾患で嘔吐、食欲低下、腹痛、脱水などがみられるとしています。
- 舌なめずりが多い
- よだれが増える
- 何度も飲み込む
- 吐く
- 下痢をする
- お腹を痛がる
水を飲んでもすぐ吐く場合は、「飲めている」と考えず受診を検討してください。
異物・腸閉塞では飲めない、飲んでも吐くことがある
おもちゃ、布、骨などを飲み込んで消化管閉塞を起こすと、嘔吐や腹痛が続き、水分を保てなくなることがあります。
Merck Veterinary Manualでは、消化管閉塞は救急疾患で、持続する嘔吐によって脱水や電解質異常が起こる可能性があるとしています。
誤食の可能性があり、繰り返し吐く・腹部が痛そう・ぐったりする場合は早めに受診してください。
発熱や全身の体調不良で飲水が落ちることもある
感染症や炎症性疾患などで体調が悪い犬は、食欲とともに飲水量が低下する場合があります。
元気消失、震え、寝てばかりいる、食欲低下などが一緒にないか確認します。
家庭で直腸温を測ることに慣れていない場合は、無理に体温を測る必要はありません。
腎臓病でも「水を飲まない」ことがある
腎臓病では一般に多飲多尿が知られていますが、進行例では吐き気・嘔吐などによって十分に飲めなくなることがあります。
Merck Veterinary Manualでは、慢性腎臓病の後期には吐き気・嘔吐や飲水不足が重なり、脱水リスクが高まることがあるとしています。
急性腎障害でも、食欲低下、元気消失、脱水、嘔吐・下痢、尿量の異常などがみられます。
「腎臓病なら必ず水をたくさん飲む」と決めつけないことが大切です。
脱水が進むとさらに元気が落ちる
十分な水分を取れない状態が続くと脱水が進みます。
Merck Veterinary Manualでは、脱水の評価に口腔粘膜の乾燥、皮膚の張り、目のくぼみ、体重変化、脈拍などを使います。
ただし、高齢犬ややせた犬では皮膚の張りだけで脱水を正確に判断できない場合があります。
家庭で皮膚をつまむテストだけを頼りに「脱水していない」と判断しないでください。
子犬・シニア犬・持病のある犬は早めに相談する
体が小さい子犬、シニア犬、腎臓病・心臓病・糖尿病などの持病がある犬では、水分不足の影響が大きくなることがあります。
普段より明らかに飲水が少なく、食欲・元気・尿量にも変化がある場合は、長く様子を見ず相談します。
薬の開始後なら薬名・開始日を確認する
新しく薬を始めた後に、吐き気、眠気、口の乾燥、食欲低下などが出て飲水量が変わることがあります。
薬が関係している可能性を感じても、処方薬を自己判断で中止・減量しないでください。
薬名、用量、最後に使った時刻を獣医師へ伝えます。
ストレス・環境変化で飲まなくなることもある
引っ越し、旅行、入院後、新しいペット、留守番環境などの変化で、一時的に飲水が落ちる犬もいます。
ただし、「ストレスだろう」と決めつける前に、食欲・尿・嘔吐・下痢・痛みなど身体的な異常がないか確認します。
飲水量だけでなく尿量も見る
飲水が減っているときは、排尿状況が重要です。
- 尿の回数が減った
- 量が極端に少ない
- 何度も排尿姿勢を取る
- 血尿がある
- まったく尿が出ない
何度も排尿姿勢を取るのに尿が出ない場合は、尿路閉塞などの可能性があるため救急受診を優先してください。
水を無理に大量に飲ませない
水を飲まないからと、シリンジで大量の水を一気に口へ入れないでください。
意識が鈍い、吐いている、飲み込みにくそうな犬では誤嚥の危険があります。
Merck Veterinary Manualでも、重度の脱水や全身状態の悪い動物では、状態に応じた輸液計画が必要で、必要量・速度は個別に調整されます。
家庭で点滴や強制給水を自己流で行わず、獣医師の指示を受けてください。
動物病院へ伝えたいポイント
| 項目 | 伝える内容 |
|---|---|
| 開始時期 | いつから飲まなくなったか |
| 食事 | ドライ/ウェット、水分添加の有無 |
| 飲水 | 普段との比較、測れた量 |
| 尿 | 回数・量・色 |
| 消化器 | 嘔吐、下痢、食欲 |
| 背景 | 薬、持病、誤食、環境変化 |
病院ではどんな検査が検討される?
まず身体検査で脱水、口腔内、腹部、全身状態を確認します。
症状に応じて、血液検査、尿検査、レントゲン、超音波などが検討されます。
腎臓や電解質の異常、感染症、消化管疾患など、原因候補によって検査内容は変わります。
自宅での対処・受診目安を確認したい場合
「どのくらい飲まなければ受診するか」「自宅で何を確認するか」は、対処記事で整理しています。
診療費を確認したい場合
水をたくさん飲む場合は別記事を確認する
反対に飲水量が急に増えている場合は、原因や受診目安が異なります。
あわせて確認したい関連記事
症状への対処や受診時の費用もあわせて確認しておくと、原因を絞るまでの流れを整理しやすくなります。
受診前のチェックリスト
- ドライ/ウェットなど食事内容を確認した
- 普段と比べてどのくらい飲まないか確認した
- 尿の回数・量を確認した
- 嘔吐・下痢を確認した
- 口臭・よだれ・口の痛みを確認した
- 食欲・元気を確認した
- 誤食の可能性を確認した
- 薬・持病を整理した
- 水を無理に大量投与していない
- ぐったり・嘔吐反復・無尿などがあれば受診を優先する
犬が水を飲まない原因には、水分の多い食事や環境変化のような比較的軽いものから、口腔の痛み、吐き気、消化管疾患、発熱、腎臓病、脱水などまであります。
水皿から飲む量だけではなく、食事から取る水分、尿量、嘔吐・下痢、口の痛み、元気までまとめて確認してください。
水を飲まないうえに、何度も吐く、ぐったりする、意識が鈍い、尿がほとんど出ない、誤食の可能性がある場合は、原因を自己判断せず早めに動物病院へ相談しましょう。


