犬に血便が出たときは、便の色だけで軽い・重いを決めず、まず全身状態を確認してください。鮮やかな赤い血が付く場合もあれば、便全体が黒くタール状に見える場合もあり、出血している場所や原因は一つではありません。
特に、大量の血が出る、黒いタール状便、嘔吐、ぐったり、立ちにくい、食べないといった症状を伴う場合は、自宅で長く様子を見ず動物病院へ連絡してください。
- 鮮やかな赤い血か、黒いタール状便か
- 血の量は少量か大量か
- 下痢か、形のある便か
- 粘液が混じっているか
- 嘔吐があるか
- 元気・食欲・飲水に変化があるか
- 何回続いているか
まず犬の全身状態を確認する
血便そのものに目が向きやすいですが、先に犬の状態を確認します。
| 確認項目 | 見る内容 |
|---|---|
| 反応 | 呼びかけに普段どおり反応するか |
| 動き | 自力で立てる・歩けるか |
| 呼吸 | 苦しそうではないか |
| 元気 | ぐったりしていないか |
| 食欲 | 食べられているか |
| 飲水 | 水を飲めているか |
血便が少なく見えても、犬全体の状態が悪い場合は受診を優先します。
鮮血か黒い便かを確認する
便に混じる血の見え方は、受診時に重要な情報になります。
鮮やかな赤い血が見える場合
便の表面に鮮血が付く、粘液と一緒に赤い血が混じるなどの形で見えることがあります。
赤い血は大腸や直腸など、消化管の比較的下部からの出血で見られることがあります。ただし、家庭で出血部位を断定することはできません。
黒くタール状に見える場合
便が黒く、ねっとりしたタール状に見える場合は、上部消化管からの出血などで血液が消化された可能性があります。
黒い便は早めに相談する
普段の便より明らかに黒く、タール状である場合は、単なる食べ物の色と決めつけず動物病院へ相談してください。
血の量と便の回数を記録する
「血便が出た」という情報だけでは、症状の程度を伝えにくいため、回数と量を記録します。
記録しておきたい内容
- 最初に血便が出た時刻
- その後何回出たか
- 血が便の表面だけか、便全体に混じるか
- 下痢か、形がある便か
- 回数が増えているか
- 血の量が増えているか
「朝7時に1回、10時に2回目、2回目の方が血が多い」のように時系列で残すと、病院で説明しやすくなります。
粘液が混じっているかも確認する
血便と一緒に透明・白っぽい粘液が見えることがあります。
粘液の有無も、便の状態を判断する手掛かりになるため、写真やメモに残します。
ただし、粘液があるから特定の病気だと家庭で判断することはできません。
嘔吐・食欲低下・ぐったりがないか確認する
血便だけでなく、ほかの症状が一緒にあるかで緊急度は変わります。
受診を急ぎたい組み合わせ
- 血便+繰り返す嘔吐
- 血便+ぐったり
- 血便+食欲がない
- 血便+水を飲めない
- 血便+腹部を痛がる
- 血便+自力で立ちにくい
下痢や嘔吐が続くと脱水につながることがあるため、特に小型犬・子犬・高齢犬では注意します。
子犬・高齢犬・持病がある犬は早めに相談する
同じ血便でも、年齢や基礎疾患によって影響は異なります。
- 子犬
- 高齢犬
- 持病がある犬
- 治療薬を継続している犬
- 免疫状態に不安がある犬
では、普段との違いを含めて早めに病院へ相談します。
便の写真を残しておく
便は受診する頃には流したり処分したりしていることが多いため、安全に撮影できるなら写真を残します。
写真では次の点が分かるようにします。
- 便全体
- 血の色
- 血が付いている範囲
- 粘液の有無
- 便の硬さ
何度も撮影する必要はありません。受診を遅らせてまで記録を優先しないことが大切です。
便を持参する場合は病院へ確認する
必要に応じて便検査が行われることがあります。便を持参できる場合は、病院へ採取方法や保存方法を確認します。
一般的には、新しい便を清潔な容器などへ入れて持参する方法がありますが、検査内容によって条件が異なるため、自己判断せず病院の指示を確認します。
食べたもの・誤食の可能性を確認する
血便が出る前に、普段と違うものを食べていないか確認します。
- フードを急に変更した
- 新しいおやつを与えた
- 拾い食いをした可能性がある
- ゴミ箱をあさった
- 人の食べ物を食べた
- 異物を飲み込んだ可能性がある
誤食の可能性がある場合は、食べた物・量・時刻を分かる範囲で伝えます。
薬・サプリ・駆虫薬などの使用状況を整理する
現在使っているものがある場合は、受診時に伝えます。
- 処方薬
- 市販薬
- サプリメント
- 整腸剤
- 駆虫薬
- 最近変更したフード
商品名やパッケージが分かれば、写真を撮って見せても構いません。
受診までに人用の薬を使わない
下痢や血便を見ると、人用の下痢止めなどを使いたくなることがありますが、自己判断で与えないでください。
自己判断で避けたい対応
- 人用の下痢止めを与える
- 以前別の症状でもらった薬を使う
- 別の犬に処方された薬を使う
- 複数のサプリや整腸剤を一度に始める
- 原因が分からないまま食事を何度も変更する
人用の薬には犬へ適さないものがあるため、薬は獣医師の指示に従います。
絶食・絶水を一律にしない
血便が出たときに「食べさせない方がよい」と考えることがありますが、すべての犬に同じ対応が適しているとは限りません。
子犬、高齢犬、持病がある犬、薬を使用している犬では特に、絶食や飲水制限を自己判断で行わないようにします。
診察前の食事や飲水については、病院へ電話した際に確認します。
すぐに病院へ連絡したい血便
次のような場合は、自宅観察を続けるより受診を優先します。
緊急性を考えたい状態
- 大量の出血がある
- 黒いタール状便が出る
- 血便が繰り返し続く
- 嘔吐を繰り返す
- ぐったりしている
- 自力で立ちにくい
- 歯ぐきが白っぽい
- 強い腹痛が疑われる
鮮血や黒いタール状の便、血便に嘔吐・元気消失が伴う場合は、早めの獣医療相談が推奨されます。
動物病院へ電話するときに伝える順番
焦っていると説明がまとまりにくいため、順番を決めて伝えます。
電話で伝える順番
- 犬の年齢・体重
- いつから血便が出ているか
- 鮮血か黒い便か
- 何回出たか、量が増えているか
- 嘔吐・ぐったり・食欲低下の有無
- 持病と現在の薬
- 誤食の可能性
そのうえで、
- 今すぐ受診すべきか
- 便を持参した方がよいか
- 食事や水をどうするか
- 移動中に注意すること
を確認します。
診察では原因に応じて検査内容が変わる
血便の診察では、便の状態、脱水、腹部の痛み、全身状態などを確認し、必要に応じて便検査・血液検査・画像検査などが検討されます。
すべての犬に同じ検査を行うわけではありません。
検査を提案された場合は、
- 何を確認する検査か
- 結果によって治療がどう変わるか
- 追加検査が必要になる条件は何か
を確認します。
帰宅後も便と全身状態を記録する
受診後に帰宅できた場合も、便の回数だけでなく全身状態を記録します。
| 記録項目 | 内容 |
|---|---|
| 便 | 回数、色、血の量、硬さ |
| 嘔吐 | 有無、回数 |
| 食事 | 食べた量 |
| 飲水 | 飲めているか |
| 薬 | 使用した時刻 |
| 元気 | 普段との違い |
再連絡が必要な悪化サインと、次の受診時期も確認しておきます。
犬に血便が出たときは、血の色だけで判断せず、量・回数・便の状態・嘔吐・元気・食欲まで確認し、黒いタール状便や大量出血、全身状態の悪化があれば早めに受診することが大切です。

