犬がくしゃみをするときはどうする?自宅で確認したいことと受診の目安

犬がくしゃみをするときはどうする?自宅で確認したいことと受診の目安

犬がくしゃみをするときは、まず一時的に数回出ただけなのか、何度も繰り返しているのかを確認してください。

鼻にほこりや刺激物が入っただけで一時的にくしゃみが出ることもありますが、鼻炎、感染症、異物、歯科疾患、真菌、腫瘍などでもくしゃみは起こります。

呼吸が苦しい、口を開けて呼吸する、舌や歯ぐきが青紫・灰色、ぐったりする場合は、くしゃみの原因を自宅で探すより救急受診を優先してください。

まず「何回・どのくらい続くか」を確認する

VCAでは、たまに出るくしゃみは珍しくない一方、短時間で治まらない持続的・反復的なくしゃみは受診対象としています。

  • 1〜2回で止まったか
  • 何度も連続して出るか
  • 数時間・数日にわたって繰り返すか
  • 散歩後だけ出るか
  • 室内でも続くか

「何回なら病気」と一律に決めるより、普段との違いと持続時間を見ることが大切です。

鼻水があるか確認する

くしゃみに鼻水が伴う場合は、色・量・左右差を確認します。

確認項目 見るポイント
色 透明、白っぽい、黄緑、血が混じるなど
量 少量、垂れる、鼻の周囲で固まる
左右 片側だけか両側か
経過 いつから、増えているか

Merck Veterinary Manualでは、鼻炎でくしゃみと鼻水がみられ、慢性化すると鼻水が粘液状・膿性・血性へ変化することがあります。

片側だけの鼻水・急なくしゃみでは異物も考える

草むらの散歩後などに急にくしゃみが始まり、片側だけ鼻水が出る、顔を前足で気にする場合は、鼻腔内の異物も原因候補です。

Merck Veterinary Manualでは、急に始まった片側性の鼻水や顔を気にする動作は鼻腔異物を示唆する所見とされています。

鼻の奥を綿棒やピンセットで探ったり、見えない異物を無理に取ろうとしないでください。

鼻血がある場合は受診する

くしゃみに鼻血が加わる場合は、鼻の粘膜損傷だけでなく、異物、真菌、腫瘍、凝固異常など複数の原因が考えられます。

Merck Veterinary Manualでは、鼻出血は鼻腔内の病変だけでなく、血小板減少や凝固異常など全身性の問題でも起こるとされています。

何度も鼻血が出る、量が多い、止まりにくい場合は早めに受診してください。

呼吸が苦しそうなら緊急性が高い

くしゃみ自体よりも、呼吸状態が悪い場合は緊急度が上がります。

救急受診を考えるサイン

  • 口を開けて苦しそうに呼吸する
  • 胸やお腹を大きく使う
  • 首を伸ばして呼吸する
  • 舌・歯ぐきが青紫・灰色
  • ぐったりする・倒れる

VCAでは、くしゃみ・鼻水がある犬でも、呼吸困難や息切れがある場合は救急病院の受診を勧めています。

逆くしゃみと普通のくしゃみを分ける

犬には「逆くしゃみ」と呼ばれる反射があります。

普通のくしゃみは鼻から空気を強く外へ出しますが、逆くしゃみは鼻から急速に空気を吸い込むため、ブーブー・ガーガーという音に聞こえることがあります。

VCAでは、逆くしゃみの多くは短時間で自然に治まり、重い合併症を起こすことはまれとしています。

ただし、頻繁に繰り返す、長く続く、鼻水・鼻血・呼吸異常を伴う場合は、異物や上気道疾患などを除外するため受診します。

動画があると「くしゃみ」か「逆くしゃみ」か伝えやすい

診察室では症状が出ないこともあるため、安全に撮れる場合は動画を残します。

  • 音
  • 頭・首の動き
  • 鼻から吐いているか吸っているか
  • 何秒くらい続くか
  • 前後に咳・えずきがあるか

ただし、撮影のために症状を再現したり、受診を遅らせたりする必要はありません。

咳・えずきとの違いも記録する

飼い主から見ると、くしゃみ、逆くしゃみ、咳、えずきが似て見えることがあります。

病名を自宅で決める必要はありません。動画とともに、「鼻から音がする」「胸を使って咳き込む」「最後にえずく」など見えたままを伝えます。

感染症の可能性があるときは他の犬との接触を控える

感染性の呼吸器疾患でも、くしゃみや鼻水が出ることがあります。

次の症状が一緒にある場合は、受診まで他の犬との密な接触を控えます。

  • 鼻水
  • 咳
  • 発熱が疑われる
  • 元気・食欲低下
  • 目やに

ドッグラン、保育園、トリミングサロンなどへの参加予定がある場合は、事前に症状を伝えてください。

人用の風邪薬・鼻炎薬を使わない

人用の風邪薬、鼻炎薬、抗ヒスタミン薬、点鼻薬を自己判断で犬へ使わないでください。

成分や用量によっては犬に適さないことがあり、原因によって必要な治療も異なります。

以前処方された犬用薬が残っていても、今回の症状に自己判断で再利用せず獣医師へ確認します。

鼻を強く拭いたり洗浄したりしない

鼻水が付着している場合は、鼻の外側を湿らせた柔らかいガーゼなどでやさしく拭きます。

鼻腔内へ水や洗浄液を入れたり、綿棒を奥まで入れたりしないでください。

鼻の周囲で分泌物が固まっている場合も、無理にはがして出血させないようにします。

煙・スプレー・強い香りを避ける

煙、刺激性ガス、ほこりなどは鼻粘膜を刺激し、くしゃみのきっかけになることがあります。

Merck Veterinary Manualでは、煙や刺激性ガス、粉じんの吸入も急性鼻炎の原因として挙げられています。

一時的に避けたいもの

  • たばこの煙
  • 芳香スプレー
  • 強い香水
  • 掃除中の大量のほこり
  • 刺激性のある薬品

長引く場合は「アレルギーだけ」と決めつけない

花粉などに関連したアレルギー性鼻炎でくしゃみが出る場合もあります。

ただし、犬では人の花粉症と同じように単純化できません。Merck Veterinary Manualでは、くしゃみは感染・炎症、異物、腫瘍、先天異常など幅広い原因で起こる非特異的な症状とされています。

何週間も続く、片側性から両側性へ変化する、膿性・血性の鼻水が出る場合は詳しい検査が必要になることがあります。

歯の病気が鼻症状につながることもある

上あごの歯根部の病変が鼻腔・副鼻腔へ影響し、くしゃみや鼻水につながる場合があります。

Merck Veterinary Manualでも、上顎の歯根膿瘍が鼻炎・副鼻腔炎の原因になることがあるとされています。

強い口臭、片側で噛む、口を痛がるなどがある場合は、その情報も獣医師へ伝えます。

受診を急いだ方がよいサイン

  • 呼吸が苦しい
  • 口を開けて呼吸する
  • 舌・歯ぐきが青紫・灰色
  • 鼻血が多い・止まりにくい
  • 顔が腫れている
  • ぐったりしている
  • 急に何度もくしゃみを繰り返し、顔を激しく気にする

呼吸状態に異常がある場合は、くしゃみの回数を数え続けるより受診を優先します。

緊急でなくても受診を考えるケース

VCAでは、短時間で治まらないくしゃみや、鼻水が多い・鼻の周囲で固まる場合は受診を勧めています。

  • くしゃみが何度も続く
  • 数日繰り返す
  • 鼻水が多い
  • 片側だけ症状が続く
  • 鼻血が混じる
  • 食欲や元気も落ちている

動物病院へ伝えると役立つこと

項目 伝える内容
開始時期 いつから・急に始まったか
頻度 何回、どのくらい続くか
鼻水 色・量・片側/両側
鼻血 有無・量・繰り返すか
併発症状 咳、目やに、発熱、元気・食欲
背景 散歩、草むら、他犬との接触、薬

病院ではどんな検査が検討される?

くしゃみが長引く場合は、問診と身体検査に加え、原因に応じて画像検査や鼻腔内の詳しい検査が検討されます。

Merck Veterinary Manualでは、慢性の鼻水・くしゃみで、レントゲン、CT、鼻鏡検査、鼻咽頭内視鏡、鼻組織の生検などが使われるとしています。

必要な検査は、症状の期間、片側性か両側性か、鼻血の有無などで変わります。

原因を詳しく知りたい場合

くしゃみの原因には、刺激物、感染症、鼻炎、異物、歯科疾患、寄生虫、真菌、腫瘍などがあります。

診療費を確認したい場合

鼻水が主な症状なら別記事も確認する

くしゃみよりも鼻水が目立つ場合は、鼻水の記事も参考にできます。

あわせて確認したい関連記事

関連する基礎知識もあわせて確認すると、次に何を確認・準備すべきか整理しやすくなります。

自宅で確認するチェックリスト

  • 一時的か、繰り返しているか確認した
  • 鼻水の色・量・左右を確認した
  • 鼻血がないか確認した
  • 逆くしゃみとの違いを動画で記録できた
  • 咳・目やに・元気・食欲を確認した
  • 散歩後・草むら後に急に始まっていないか確認した
  • 人用薬・点鼻薬を使っていない
  • 鼻の奥へ綿棒を入れていない
  • 煙・スプレーなどの刺激を避けた
  • 呼吸困難があれば救急受診を優先する

犬のくしゃみは、鼻への一時的な刺激で出ることもあります。

一方で、繰り返すくしゃみ、鼻水、鼻血、片側だけの症状、顔を気にする動作などがある場合は、鼻炎・感染症・異物などを含めて動物病院で確認します。

呼吸が苦しい、口を開けて呼吸する、舌や歯ぐきが青紫・灰色、ぐったりする場合は救急受診を優先してください。

自宅では病名を決めるより、くしゃみの頻度、鼻水・鼻血、左右差、動画、他の症状を記録して診察につなげることが大切です。