犬が耳をかくときはどうする?自宅で確認したいことと受診の目安

犬が耳をかくときはどうする?自宅で確認したいことと受診の目安

犬が耳を何度もかくときは、まず片耳だけか両耳か、頭を振るか、赤み・におい・耳だれ・痛みがないかを確認してください。

耳をかく原因には、外耳炎、細菌や酵母、耳ダニ、アレルギー、異物、湿気などさまざまなものがあります。見た目だけで原因を決めることはできません。

頭が傾く、ふらつく、倒れる、まっすぐ歩けない、眼が揺れるなどの症状がある場合は、耳掃除より受診を優先してください。

まず「かき方」と耳の見た目を確認する

  • 片耳だけをかくか、両耳をかくか
  • 頭を何度も振るか
  • 耳の入口が赤い・腫れているか
  • 黒・黄・茶色などの耳だれがあるか
  • いつもと違う強いにおいがあるか
  • 触ると痛がるか
  • 耳の外側に傷や出血がないか

Merck Veterinary ManualとVCAでは、外耳炎で頭を振る、耳をかく、赤み、腫れ、悪臭、耳だれ、痛みなどがみられるとされています。

強くかいているときは掻き壊しを防ぐ

かゆみや痛みが強いと、後ろ足で耳を傷つけたり、頭を振り続けて耳介に負担がかかったりすることがあります。

爪で皮膚を傷つけそうな場合は、犬が安全に使い慣れているエリザベスカラーなどで一時的に掻き壊しを防ぐ方法もあります。

ただし、装着で強いストレスや呼吸への負担が出る場合は無理に使用せず、動物病院へ相談してください。

耳の奥まで綿棒を入れない

耳が気になると掃除したくなりますが、家庭で耳道の奥まで綿棒を入れるのは避けます。

耳垢を奥へ押し込んだり、炎症がある耳道を傷つけたりする可能性があります。

自宅で確認するのは、耳介と見える範囲の入口まで。奥の状態は獣医師の耳鏡検査で確認するのが安全です。

市販のイヤークリーナーを何度も入れない

耳をかいているときに、原因が分からないまま大量の洗浄液を入れたり、何度も耳洗浄したりしないでください。

VCAでは、感染した耳を過度に強く洗浄すると問題を悪化させる可能性があり、鼓膜に異常がある場合には一部の洗浄剤が中耳・内耳を刺激することがあると説明しています。

痛み、耳だれ、強い赤みがある場合は、自己流の耳掃除より診察を優先します。

耳だれの色・量・においを記録する

確認項目 記録すること
色 黒、茶、黄、血が混じるなど
量 少量か、耳の外まで出るか
におい 普段と違う強い臭いがあるか
左右 片耳か両耳か

耳だれの色だけで細菌・酵母・耳ダニなどを決めることはできません。診断には耳鏡検査や耳垢の細胞診などが使われます。

耳を触ると痛がる場合は無理に押さえない

耳の炎症が強い犬は、触られること自体を強く嫌がる場合があります。

VCAでは、耳感染は痛みや不快感を伴い、Merck Veterinary Manualでは強い痛みがある犬では十分な耳鏡検査のために鎮静が必要になる場合もあるとされています。

痛がる犬を押さえつけて耳の奥を確認しようとしないでください。

シャンプー・水遊びの後なら湿気も確認する

水泳やシャンプーのあとに耳へ湿気が残ると、外耳炎のリスクを高めることがあります。

Merck Veterinary Manualでは、耳の過剰な湿気は外耳炎の素因の一つとされています。

入浴後は耳の外側をやさしく拭き、耳道の奥へ水や綿棒を入れないようにします。

草むらの散歩後に急に片耳を気にする場合は異物も考える

散歩後に突然、片耳だけを強くかく、激しく頭を振るようになった場合は、植物片などの異物が耳道へ入った可能性もあります。

見えない異物をピンセットなどで探して取り出そうとすると、奥へ押し込む危険があります。

急に始まった激しい耳の違和感は、自宅で奥を探らず受診してください。

ノミ・耳ダニなども自己判断しない

耳をかく症状では寄生虫が関係する場合もあります。

ただし、黒い耳垢があるだけで耳ダニと断定することはできません。

予防薬を使っている場合は、商品名と最終投与日を診察時に伝えます。

アレルギーでは耳の症状を繰り返すことがある

Merck Veterinary Manualでは、アレルギーは外耳炎の原因の一つとされています。

耳の炎症を何度も繰り返す、足先や脇・お腹などもかゆがる場合は、その情報も獣医師へ伝えてください。

ただし、「耳をかく=食物アレルギー」と自己判断して主食を急に変更する必要はありません。

以前の点耳薬を自己判断で使わない

以前処方された点耳薬が残っていても、今回の耳の状態に同じ薬が適しているとは限りません。

外耳炎は原因によって治療が異なり、鼓膜の状態によって使用できる薬や洗浄剤も変わります。

人用の耳薬や、以前の残り薬を自己判断で耳へ入れないでください。

頭が傾く・ふらつく場合は早めに受診する

中耳炎・内耳炎では、外耳炎と同じように頭を振る、耳をかく、痛がる症状に加えて、神経症状がみられることがあります。

注意したい症状

  • 頭を片側へ傾ける
  • まっすぐ歩けない
  • ふらつく・転ぶ
  • 同じ方向へ回る
  • 眼球が勝手に揺れる
  • 口を開けると痛がる
  • 顔の左右差が出る

Merck Veterinary Manualでは、内耳炎で頭部傾斜や眼振、平衡感覚の低下などがみられるとされています。

耳介が急に腫れた場合も受診する

強く頭を振ったり掻いたりした後に、耳の外側が風船のようにぷっくり腫れることがあります。

耳血腫などが疑われるため、つぶしたり針を刺したりせず、動物病院で確認してもらいます。

出血がある場合は刺激を増やさない

爪で掻き壊した傷など、耳介の表面から少量出血することがあります。

清潔なガーゼなどでやさしく圧迫し、止まらない、傷が深い、何度も出血する場合は受診します。

耳道の奥から血が出ているように見える場合は、綿棒で確認せず診察を受けてください。

受診を急いだ方がよいサイン

  • 頭が傾く
  • ふらつく・倒れる
  • 眼球が揺れる
  • 強い痛みがある
  • 耳介が急に大きく腫れた
  • 出血が止まらない
  • 耳だれ・悪臭・腫れが強い
  • 元気や食欲も落ちている

一方、救急症状がなくても、耳をかく・頭を振る状態が続く場合は早めに受診してください。VCA Urgent Careも、耳をかく、赤み、耳道の大量の汚れ、悪臭、腫れなどがある場合は診察を勧めています。

写真・動画を残すと診察で役立つ

耳をかく動作や頭を振る回数は、診察室では出ないこともあります。

  • 耳をかいている動画
  • 頭を振る様子
  • 耳介の赤み・腫れの写真
  • 症状が始まった日時
  • シャンプー・水遊び・散歩との関係

ただし、症状を再現させるために耳を触ったり、受診を遅らせて撮影したりする必要はありません。

動物病院へ伝えると役立つこと

項目 伝える内容
開始時期 いつから耳をかくか
左右 片耳か両耳か
耳の状態 赤み、耳だれ、におい、痛み
行動 頭振り、こする、眠れない等
背景 水遊び、シャンプー、散歩、アレルギー歴
使用品 耳洗浄剤、点耳薬、予防薬

病院ではどんな検査が行われる?

外耳炎が疑われる場合は、耳の外側と耳道を観察し、耳鏡検査や耳垢の細胞診などが行われます。

Merck Veterinary Manualでは、外耳炎の診断には病歴、耳鏡検査、細胞診が基本とされています。

強い痛みや腫れで奥まで確認できない場合は、状態に応じて鎮静や追加検査が検討されることもあります。

原因を詳しく知りたい場合

診療費を確認したい場合

診察、耳鏡検査、細胞診、薬などの費用については診療費記事で確認できます。

耳のにおいが特に気になる場合

「かく」よりも悪臭が目立つ場合は、耳が臭いときの記事も参考にできます。

あわせて確認したい関連記事

関連する基礎知識もあわせて確認すると、次に何を確認・準備すべきか整理しやすくなります。

自宅で確認するチェックリスト

  • 片耳か両耳か確認した
  • 頭を振る回数を確認した
  • 赤み・腫れ・耳だれを確認した
  • 強いにおいがないか確認した
  • 耳を触ったときの痛みを確認した
  • 頭の傾き・ふらつきがない
  • 耳の奥へ綿棒を入れていない
  • 洗浄液を自己判断で何度も使っていない
  • 以前の点耳薬を再利用していない
  • 症状が続く・悪化する場合は受診する

犬が耳をかくときは、片耳か両耳か、頭振り、赤み、耳だれ、におい、痛みを確認します。

耳の奥を自己流で掃除したり、残っている点耳薬を使ったりせず、症状が続く場合は動物病院で耳道と鼓膜の状態を確認してもらいましょう。

頭が傾く、ふらつく、倒れる、眼球が揺れる、強い痛みがある場合は、中耳・内耳の問題も考えられるため、早めの受診が必要です。