犬が呼吸が速い原因は?考えられることと動物病院で伝えたいポイント

犬の呼吸が速い原因は?考えられることと動物病院で伝えたいポイント

犬の呼吸が速いときは、運動後・暑さ・興奮など一時的な反応のこともあれば、呼吸器・心臓・痛み・発熱・全身疾患などが関係していることもあります。

大切なのは、「呼吸数が多い」という一点だけで病名を決めないことです。安静時か、胸やお腹を大きく使っていないか、舌や歯ぐきの色、咳・発熱・元気消失などを一緒に確認すると、受診時に状況を伝えやすくなります。

呼吸が速い原因は「正常な一時的変化」「痛み・発熱など全身要因」「呼吸器」「心臓・循環」「胸腔内の異常」などに分けて考えると整理しやすくなります。

まず「運動後の速い呼吸」と「安静時の速い呼吸」を分ける

運動直後、暑い環境、興奮・緊張しているときは、健康な犬でも呼吸が速くなることがあります。

Merck Veterinary Manualでも、頻呼吸(tachypnea)は病気で起こるだけでなく、激しい運動後や不安時にもみられるとされています。

一時的な変化か確認するポイント

  • 運動直後か
  • 室温が高くないか
  • 興奮・緊張していないか
  • 涼しい場所で休むと落ち着くか
  • 寝ているときも速いか

休んでも呼吸が速い、睡眠中も速い、以前より明らかに増えた場合は、病気を含めて確認が必要です。

安静時・睡眠時の呼吸数を測る

呼吸数を確認するときは、犬が落ち着いて寝ているか、静かに休んでいるときに測ります。

呼吸数の数え方

  1. 胸またはお腹の上下を見る
  2. 上がって下がる1往復を1回と数える
  3. 30秒数えて2倍する、または60秒数える
  4. 数回測って傾向を見る

VCAでは、安静時・睡眠時の呼吸数が継続して1分30回を超える場合は増加しているとし、獣医師への相談を勧めています。ただし、犬ごとの基準は異なるため、普段の値を知っておくことも重要です。

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症状への対処や受診時の費用もあわせて確認しておくと、原因を絞るまでの流れを整理しやすくなります。

 

呼吸が明らかに苦しそうな場合は、呼吸数を正確に数えることに時間をかけず受診を優先します。

原因1|暑さ・運動・興奮

犬は人のように全身から汗をかいて体温調節することが難しく、パンティング(ハアハアする呼吸)で熱を逃がします。

一時的に速くなりやすい場面

  • 散歩・運動の直後
  • 暑い室内や屋外
  • 車移動
  • 来客・動物病院などでの緊張
  • 強く興奮した後

涼しい場所で休ませても落ち着かない、ぐったりする、よだれが多い、ふらつくなどがある場合は、熱中症なども含めて早急な相談が必要です。

原因2|痛み

痛みがある犬では、呼吸が浅く速くなることがあります。

痛みを疑う手掛かり

  • 触ると嫌がる
  • 背中を丸める
  • 立ち上がりにくい
  • 落ち着かず場所を変える
  • 震える
  • 食欲が落ちる

胸や腹部の痛みでも呼吸が変化することがあるため、足腰の痛みだけとは限りません。

原因3|発熱・感染・炎症など全身の病気

発熱や感染症、強い炎症などで体の酸素需要が増えたり、全身状態が悪化したりすると呼吸が速くなることがあります。

Merck Veterinary Manualでも、敗血症など全身性の病気で頻呼吸がみられる場合があるとしています。

一緒に確認したい変化

  • 元気がない
  • 食欲がない
  • 体が熱い・発熱が疑われる
  • 嘔吐・下痢
  • 震え
  • 急にぐったりした

原因4|気管・気管支・肺など呼吸器の病気

気道や肺の病気では、酸素を取り込む効率が低下したり、空気の通り道が狭くなったりして呼吸が速くなることがあります。

考えられる呼吸器の問題の例

  • 肺炎
  • 気管支炎
  • 気管虚脱
  • 上気道の閉塞
  • 喉頭の異常
  • 肺の腫瘍・炎症

Merck Veterinary Manualでは、呼吸器疾患の主な症状として咳、鼻汁、頻呼吸、努力性呼吸、運動不耐性などが挙げられています。

咳やゼーゼー音、ガーガー音、運動時にすぐ疲れるなどがある場合は、その有無も受診時に伝えます。

原因5|心臓病・肺水腫

心臓病が進行し、肺に水がたまる肺水腫などが起こると、安静時・睡眠時でも呼吸が速くなることがあります。

Merck Veterinary Manualでは、左心不全など循環器の問題に伴って肺水腫が起こり、呼吸困難や姿勢変化がみられることがあるとしています。

心臓・循環器の問題で伝えたいこと

  • 安静時の呼吸数
  • 咳の有無
  • 夜間・睡眠中に増えるか
  • 散歩ですぐ疲れるか
  • 失神・ふらつきがないか
  • 心臓病の診断歴・薬の有無

心臓病で治療中の犬では、普段の睡眠時呼吸数を記録しておくと変化に気付きやすくなります。

原因6|胸に空気や液体がたまる病気

肺の外側にある胸腔へ空気・液体・血液などがたまると、肺が十分に広がらず、速く浅い呼吸になることがあります。

Merck Veterinary Manualでは、胸水、膿胸、血胸、乳び胸、気胸などの胸腔疾患で頻呼吸や呼吸努力の増加がみられるとしています。

急いで受診したい組み合わせ

  • 急に呼吸が速くなった
  • 浅い呼吸が続く
  • 横になりたがらない
  • 首を伸ばして呼吸する
  • 事故・転落後に呼吸が速い

原因7|貧血や酸素運搬能力の低下

血液中の赤血球が不足する貧血では、体へ酸素を運ぶ能力が低下し、呼吸や心拍が速くなることがあります。

貧血を疑う手掛かり

  • 歯ぐきが白っぽい
  • 元気がない
  • すぐ疲れる
  • ふらつく
  • 出血がある

外から出血が見えなくても体内で出血していることがあるため、歯ぐきが白い・急に元気がない場合は受診を優先します。

原因8|中毒・代謝異常など

中毒、低血糖、酸塩基平衡の異常など、呼吸器以外の問題でも呼吸数が増えることがあります。

受診時に伝えたい情報

  • 誤食した可能性がある物
  • 人の薬・農薬・洗剤などへの接触
  • 糖尿病など持病の有無
  • 現在飲んでいる薬
  • 嘔吐・下痢・震えの有無

誤食や中毒が疑われる場合は、自己判断で吐かせず、商品名・成分・摂取した可能性のある量を確認して病院へ連絡します。

「呼吸が速い」と「呼吸が苦しそう」は分けて考える

呼吸数が多いだけの状態と、呼吸そのものに強い努力が必要な状態では緊急性が異なります。

Merck Veterinary Manualでは、呼吸努力の増加、開口呼吸、首を伸ばす姿勢、粘膜色の変化などは呼吸窮迫の重要なサインとされています。

呼吸が苦しそうなサイン

  • 胸やお腹を大きく使う
  • 首を伸ばして呼吸する
  • 肘を外へ開いて立つ
  • 横になれない
  • 安静なのに口を開けて呼吸する
  • 舌・歯ぐきが青紫、灰色、極端に白い

このような呼吸努力や粘膜色の異常がある場合は、呼吸数を数え続けたり原因を自宅で探したりせず、すぐ動物病院へ連絡します。

短頭種では上気道の問題にも注意する

フレンチブルドッグ、パグ、ブルドッグなどの短頭種では、鼻や喉の構造的な問題によって空気が通りにくくなることがあります。

暑さや興奮で悪化しやすいため、「いつもハアハアしている犬種だから」と決めつけず、普段より呼吸が速い・苦しそうな場合は相談します。

動物病院では何を調べるのか

呼吸が速い犬では、まず呼吸状態を確認し、安定性を評価してから必要な検査を選びます。

検査・評価確認することの例
身体検査呼吸音、心音、体温、粘膜色等
血液検査貧血、炎症、臓器状態等
胸部X線肺、心臓、胸腔、気管等
超音波心臓・胸水等の評価
酸素化評価パルスオキシメーター、血液ガス等

Merck Veterinary Manualでは、下部呼吸器症状がある動物では胸部X線が有用で、重い呼吸障害ではパルスオキシメーターや動脈血ガスで低酸素状態を評価する場合があるとしています。

ただし、呼吸状態が不安定な犬では、検査より先に酸素投与など安定化処置を行うことがあります。

受診時は「呼吸数」だけでなく経過を伝える

動物病院で伝えたいポイント

  • いつから速いか
  • 安静時・睡眠時にも速いか
  • 1分間の呼吸数
  • 運動・暑さ・興奮との関係
  • 咳・鼻水・発熱の有無
  • 食欲・元気・飲水量の変化
  • 痛み、嘔吐、下痢の有無
  • 持病と現在の薬

安全に撮影できる場合は、横から胸とお腹の動きが分かる短い動画を撮っておくと、診察時の参考になります。

「昨日から」より具体的な時間と状況を残す

「昨日から呼吸が速い」だけではなく、「昨夜22時の睡眠中から1分40回前後が続いている」「散歩後30分たっても戻らない」など、時間と状況を具体的に記録します。

記録しておくとよいこと

  • 測定時刻
  • 呼吸数
  • 寝ている・起きている
  • 室温
  • 直前の運動
  • 一緒に出た症状

同じ条件で数回記録すると、病院で普段との差を伝えやすくなります。

受診までに薬や食事を自己判断で変えない

呼吸が速い原因を自宅で決めつけ、残っている薬を飲ませたり、複数のサプリ・フードを同時に変更したりすると、症状の評価を難しくすることがあります。

すでに何か変更した場合は、商品名・薬名・量・時刻をそのまま病院へ伝えます。

原因探しより受診を優先したい状態

すぐに連絡したい状態

  • 安静でも明らかに苦しそう
  • 胸・腹を大きく使って呼吸する
  • 首を伸ばしている
  • 横になれない
  • 舌・歯ぐきの色がおかしい
  • 意識が弱い・倒れる
  • 事故・中毒が疑われる

Merck Veterinary Manualでは、努力性呼吸や粘膜色の異常は重い呼吸障害のサインで、呼吸停止に進む可能性があるとされています。

呼吸が苦しそうな犬では、原因を検索したり動画を撮り直したりせず、移動方法も含めてすぐ病院へ連絡してください。