犬が吐いたときは、「何回吐いたか」だけでなく、元気・水分・腹痛・吐物の内容・誤食の可能性・お腹の張りまで一緒に確認します。
1回だけ吐いて、その後は元気・食欲・飲水が普段どおりなら経過を見られる場合もあります。一方、繰り返し吐く、血が混じる、水も飲めない、強い腹痛がある、何も出ないのに吐こうとする、お腹が張る、異物や中毒が疑われる場合は早めの受診が必要です。
「吐いた=必ず緊急」ではありませんが、「吐く+ほかの異常」がある場合は、自宅で食事を工夫するより受診を優先します。
犬が吐いたら最初に確認する7項目
- 何回吐いたか
- 吐いたものに血・異物がないか
- 元気はあるか
- 水を飲めるか
- 腹痛やお腹の張りがないか
- 誤食・中毒の可能性がないか
- 子犬・シニア・持病ありではないか
1回だけ吐いて元気なら経過を見られることもある
食べるのが速かった、草を食べた、軽い胃腸の刺激があったなどで、単発の嘔吐が起こることがあります。
吐いたあとも元気があり、水を飲めていて、腹痛や下痢もなく、その後吐かない場合は短時間の観察ができることがあります。
ただし、同じような嘔吐を何度も繰り返す場合は「いつものこと」と決めつけず受診を検討します。
24時間に何度も吐く場合は受診を考える
VCAの緊急診療案内では、24時間に2回を超えて吐くことを受診目安の一つとしています。
また、繰り返す嘔吐は脱水や電解質異常につながる可能性があります。
回数が増えている、間隔が短くなっている、吐くたびに元気が落ちている場合は早めに相談してください。
血が混じる場合は早めに受診する
吐物に鮮血が混じる、赤黒いものが出る、コーヒーかすのような内容物がある場合は、消化管からの出血が疑われることがあります。
Cornell University College of Veterinary Medicineでも、吐物に血が混じる場合は受診を勧めています。
水も飲めない・飲んでも吐く場合は注意する
吐いたあとに水を飲んでもすぐ吐く状態では、脱水が進みやすくなります。
特に小型犬、子犬、シニア犬では体液の余裕が少ない場合があります。
早めに相談したい状態
- 水を飲めない
- 飲むたびに吐く
- 尿量が減っている
- 口の中が乾いている
- ぐったりしている
何も出ないのに吐こうとする場合は緊急性がある
何度も吐こうとしているのに何も出ない、よだれが多い、お腹が張っている、落ち着かない場合は、胃拡張・胃捻転症候群(GDV)などの緊急疾患が疑われます。
Merck Veterinary Manualでは、GDVは命に関わる緊急疾患で、繰り返す空えずき、腹部膨満、腹痛、落ち着きのなさなどがみられるとしています。
何も出ないのに繰り返し吐こうとする+お腹が張る場合は、様子を見ず救急対応を検討してください。
お腹を痛がっているか確認する
背中を丸める、腹部を触られるのを嫌がる、落ち着かない、祈るように前脚を伸ばしてお尻を上げるなどは、腹痛でみられることがあります。
強い腹痛と嘔吐がある場合は、胃腸炎だけでなく異物、膵炎、閉塞なども考えられるため受診を優先します。
誤食・異物の可能性を確認する
おもちゃ、靴下、布、骨、串、石、ひもなどを飲み込んだ可能性がないか確認します。
Cornellでは、消化管異物による閉塞は緊急疾患となることがあり、嘔吐、食欲低下、腹痛、下痢、脱水、元気消失などがみられるとしています。
受診時に伝えること
- 何を飲み込んだ可能性があるか
- いつ頃か
- 大きさ・量
- 包装や同じ商品の写真
- その後の嘔吐・便の回数
中毒の可能性がある場合は自己判断で吐かせない
人用医薬品、チョコレート、キシリトール、ぶどう・レーズン、玉ねぎ、殺鼠剤などを口にした可能性がある場合は、早めに動物病院へ連絡します。
Cornellでは、毒物によっては吐かせることが危険な場合もあるため、自己判断で催吐処置を行わず獣医師や中毒相談へ確認するよう案内しています。
誤食・中毒では「家で吐かせればよい」と考えず、何を食べた可能性があるかを伝えて指示を受けてください。
吐いたものを確認する
吐物の内容は原因を判断する手がかりになります。
| 吐物 | 確認したいこと |
|---|---|
| 未消化フード | 食後何分・何時間で吐いたか |
| 黄色い液体 | 空腹時間、繰り返していないか |
| 泡・透明液 | 回数、元気、飲水 |
| 血が混じる | 早めに受診 |
| 異物が混じる | 残りの異物がないか |
写真を撮っておくと診察時に役立ちます。
嘔吐と吐出を分けて記録する
嘔吐では、吐く前に気持ち悪そうにする、腹部に力が入る、えずくなどがみられることがあります。
一方、吐出は食道から内容物が受動的に出ることが多く、腹部の強い収縮が目立たないことがあります。
VCAでも、嘔吐と吐出は原因が異なるため、区別することが診断に役立つとしています。
可能なら、吐く前後の様子を動画で残します。
下痢も同時にある場合は脱水に注意する
嘔吐と下痢が同時に続くと、体から水分と電解質が失われやすくなります。
小型犬、子犬、シニア犬では特に早めの相談を検討します。
元気・食欲が落ちている場合は受診の優先度が上がる
吐いたあとも散歩へ行きたがり、食欲が戻っている場合と、ぐったりして食べない場合では状況が違います。
VCAでは、嘔吐に元気消失、食欲低下、腹痛、下痢、脱水などが伴う場合は早めの診察を勧めています。
子犬が吐く場合は早めに相談する
子犬は成犬より脱水や低血糖の影響を受けやすい場合があります。
繰り返し吐く、食べない、元気がない、下痢もある場合は、自宅で長く様子を見ないようにします。
シニア犬・持病がある犬も慎重に判断する
高齢犬や腎臓病、肝臓病、糖尿病などの持病がある犬では、嘔吐が全身状態の悪化につながる場合があります。
普段から服用している薬がある場合は、吐いたあとに同じ薬を追加で飲ませるかどうかを自己判断せず主治医へ確認します。
人用の胃薬・吐き気止めを与えない
人用医薬品の中には、犬で使われる成分もありますが、体重・病気・併用薬によって適切な量や安全性が変わります。
VCAでも、獣医師の指示なしに人用薬を与えないよう案内しています。
無理に食べ物や水を入れない
繰り返し吐いている犬へ、大量の水や食事を無理に与えると再び吐くことがあります。
VCAでは、持続する嘔吐時に無理に食べ物や水を与えないよう案内しています。
何をどのタイミングで与えるかは、症状や原因によって異なるため、繰り返す場合は主治医へ確認します。
自宅で様子を見る場合も記録する
- 吐いた時間
- 回数
- 吐物の写真
- 最後に食べたもの
- 水を飲めたか
- 便の状態
- 元気・食欲
- 誤食の可能性
- 現在の薬・サプリ
「何回吐いたか」だけでなく、時間間隔も記録すると診察時に役立ちます。
受診の目安を状態別に整理
| 状態 | 対応の目安 |
|---|---|
| 1回だけ・元気・水が飲める | 短時間の観察が可能な場合あり |
| 繰り返す・食欲低下・下痢 | 早めに動物病院へ相談 |
| 血を吐く・強い腹痛・水も吐く | 早めの受診 |
| 空えずき+腹部膨満・意識低下・呼吸異常 | 緊急受診 |
| 異物・中毒の疑い | すぐ動物病院へ連絡 |
原因を詳しく知りたい場合
犬が吐く原因には、食事性、胃腸炎、異物、膵炎、内臓疾患、中毒などさまざまなものがあります。
原因別の考え方は次の記事で詳しく確認できます。
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関連する基礎知識もあわせて確認すると、次に何を確認・準備すべきか整理しやすくなります。
診療費は検査内容によって変わる
嘔吐で受診した場合、診察だけでなく、血液検査、X線検査、超音波検査などが必要になることがあります。
異物閉塞が疑われる場合は、手術や入院が必要になるケースもあります。
費用の内訳や見積もりの確認方法は次の記事で整理しています。

