犬の医療費はいくらかかる?年間予算の立て方と節約ポイント

犬の医療費はいくらかかる?年間予算の立て方と節約ポイント

犬の医療費は、毎年同じ金額がかかる固定費ではありません。健康な時期は受診が少なくても、病気やケガで検査、処置、投薬、手術、入院などが必要になると、一時的に支出が大きくなることがあります。

アニコム損害保険が2026年3月11日に公表した2025年分の調査では、犬1頭あたりの「ケガや病気の治療費」は年間89,120円でした。ただし、これは同社のペット保険契約者へのアンケート結果で、すべての犬に必要な金額を示すものではありません。

医療費の予算は「平均額をそのまま用意する」のではなく、定期的にかかる費用と、急な受診に備える予備費を分けて考えることが大切です。

犬の医療費は年間いくらかかる?

医療費は、犬の年齢、健康状態、持病、受診回数、検査や治療内容、動物病院などによって変わります。まずは平均額を参考にしながら、自分の犬に必要な費用を積み上げて考えます。

2025年の治療費平均は年間89,120円

アニコム損保の「2025最新版 ペットにかける年間支出調査」では、犬の治療費は年間89,120円でした。12か月で単純に割ると約7,427円ですが、毎月7,427円の診療費が発生するという意味ではありません。

平均額を見るときの注意

  • 調査対象はアニコム損保のペット保険契約者
  • 2025年1月1日~12月31日の支出を尋ねたアンケート
  • 有効回答数は5,494件
  • 犬ごとの病気や治療内容の違いまでは平均値から分からない

したがって、89,120円は「この金額があれば必ず足りる」という基準ではなく、年間家計に医療費の枠を設けるための参考値として見るのが適切です。

動物病院によって料金は異なる

日本獣医師会は、獣医師団体が基準料金を定めたり、獣医師同士で協定して料金を設定したりすることは認められておらず、各獣医師が診療料金を設定すると説明しています。

そのため、同じような症状でも、病院、検査内容、処置、薬、入院の有無などによって支払額は変わります。

「犬の医療費は1回○円」と一律には決められません。診察料だけでなく、検査・処置・薬・入院などを合わせた総額で考えます。

医療費が高くなりやすいのはどんなとき?

医療費は1回の診察だけでなく、必要な検査や治療が増えたり、通院が長期化したりすると大きくなります。

検査が複数必要になるとき

症状だけで原因を判断できない場合、血液検査、尿検査、便検査、レントゲン、超音波検査などが検討されることがあります。必要な検査は犬の状態によって異なります。

診察時に確認しておきたいこと

  • 何を確認するための検査か
  • 検査によって何が分かるのか
  • 追加検査の可能性があるか
  • 概算費用を確認できるか

費用が気になる場合は、緊急性を妨げない範囲で、検査の目的と見積もりを確認しておくと家計を把握しやすくなります。

手術や入院が必要になるとき

外科手術や入院が必要になる場合は、診察・検査だけの受診より総額が高くなりやすくなります。手術そのものに加えて、麻酔、術前検査、入院、点滴、薬、術後診察などが必要になることもあります。

通院や投薬が長く続くとき

1回の診療費が大きくなくても、定期通院、検査、投薬が数か月から長期に続くと、年間ではまとまった金額になります。

費用が増えやすい要因 家計で見るポイント
検査が増える 1回分だけでなく追加検査も想定する
通院が続く 1回の料金×予定回数で考える
薬が継続する 月額または処方間隔から年間化する
手術・入院 検査・麻酔・入院・術後費用まで確認する

夜間・休日など時間外に受診するとき

夜間や休日の救急診療では、通常の診療時間とは異なる料金体系が設定されている場合があります。かかりつけ病院が休みのときに利用できる救急病院と、移動方法を事前に確認しておくと安心です。

緊急時は費用だけで受診を遅らせない

呼吸が苦しそう、意識がおかしい、急に立てない、けいれんが続く、短時間で急激に悪化しているなど、緊急性が疑われる場合は、費用確認を優先して受診を遅らせないでください。判断に迷う場合も、動物病院へ連絡して指示を確認します。

犬の医療費の年間予算を立てる方法

年間予算は、すでに分かっている費用と、予測しにくい費用を分けます。

1. 定期的にかかる医療費を集計する

現在すでに通院や投薬がある場合は、年間に必要になりそうな金額を計算します。

  • 定期診察
  • 継続して受ける検査
  • 継続薬
  • 再診に伴う交通費

たとえば2か月に1回の通院が予定されているなら、1回あたりの平均支払額を確認し、年間のおおよその回数を掛けます。

2. 予防・健康管理費は別にする

家計簿では、病気やケガの治療費と、健康診断や予防関連の費用を分けておくと、どの費用が増えたか把握しやすくなります。

家計項目 含める例
治療費 病気・ケガの診察、検査、治療、薬など
予防・健康管理費 健康診断、予防関連の費用など
保険料 加入しているペット保険の保険料

予防関連の年間費用を別に見直したい場合は、次の記事も参考になります。

3. 急な受診に備える予備費を確保する

病気やケガは、年間の受診回数を正確には予測できません。そこで、定期的な医療費とは別に、急な受診へ使えるお金を確保しておきます。

予備費を決めるときの材料

  • 前年の急な受診回数と支払額
  • 犬の年齢と現在の健康状態
  • 持病や継続治療の有無
  • すぐ使える貯蓄がどの程度あるか
  • ペット保険の補償内容と自己負担

2025年の治療費平均89,120円を参考に、仮に年間90,000円を医療費用として積み立てるなら、月7,500円です。ただし、これは家計管理の計算例であり、すべての家庭に適した金額ではありません。

積立額は平均値ではなく、前年実績・犬の健康状態・保険・家庭の貯蓄状況を組み合わせて決めます。

4. ペット保険は保険料と自己負担を分ける

ペット保険へ加入している場合でも、すべての診療費が補償されるとは限りません。補償割合、通院・入院・手術の限度、免責、対象外の診療、年間限度、待機期間などは商品によって異なります。

家計では、年間保険料と、実際に病院で支払った自己負担額を別々に記録します。

保険の基本的な考え方や補償内容を確認したい場合は、ペット保険の記事もあわせて確認できます。

5. 毎年、前年実績で見直す

医療費は一度予算を作って終わりではありません。年齢を重ねたり、新しい通院や投薬が始まったりすれば、必要な金額も変わります。

見直すタイミング

  • 定期通院が始まったとき
  • 薬が追加・変更されたとき
  • 検査回数が変わったとき
  • 保険を更新・変更したとき
  • 前年の予備費では不足したとき

医療費を節約するときに見直しやすいこと

医療費の節約は、必要な診察や検査を減らすことではありません。無駄や家計上の漏れを減らしながら、必要な診療を受けられる状態を保つことが目的です。

症状や経過を記録して受診する

受診前に、いつから、どのような症状があるか、食欲、飲水、排泄、元気、歩き方などの変化を整理します。咳、歩き方、けいれんなどは、可能であれば動画が診察時の参考になることもあります。

これは自己診断のためではなく、獣医師へ経過を正確に伝えるためです。

検査・治療の目的と概算費用を確認する

緊急でない場面では、検査や治療の説明を受けたときに、目的、今行う理由、今後の見通し、概算費用を確認します。

複数の治療選択肢がある場合も、それぞれの目的や違いを説明してもらったうえで判断します。

薬や検査を自己判断で中止しない

費用を抑えるために処方薬を減らしたり、通院間隔を自己判断で延ばしたりするのは避けます。変更したい事情がある場合は、まず獣医師へ相談します。

領収書と診療明細を残す

領収書や診療明細を残すと、1年間で何にいくら使ったかを確認できます。

  • 診察
  • 検査
  • 薬
  • 処置・手術
  • 入院
  • 保険適用後の自己負担

費用を項目別に残しておくと、翌年どこへ予算を多く配分すべきか判断しやすくなります。

医療費の節約方法をさらに詳しく確認したい場合は、こちらの記事で整理しています。

節約のために削らない方がよい費用

医療費には、節約を優先しない方がよい部分があります。

  • 必要と判断された受診
  • 緊急性が疑われる症状への対応
  • 獣医師と相談して行う検査や治療
  • 処方された薬
  • 継続治療に必要な再診

受診を遅らせることで状態が悪化すれば、犬への負担だけでなく、結果的に検査や治療が増える可能性があります。

費用に不安がある場合は受診そのものをやめるのではなく、診察時に予算面も伝え、必要な診療の優先順位や今後の見通しを相談します。

医療費を家計にどう組み込む?

犬の医療費は、通常の生活費と完全に同じ扱いにすると、急な受診時に不足しやすくなります。

管理方法 考え方
予定医療費 定期通院・継続薬などを年間化
予備費 急な病気やケガ用として別に確保
保険料 加入している場合は固定費として管理
予防費 治療費と混ぜず別項目にする

犬全体の年間飼育費と合わせて家計を組みたい場合は、年間費用の記事も参考になります。

犬の医療費は平均額より「自分の犬の予算」で備える

2025年のアニコム損保の調査では、犬のケガや病気の治療費は年間89,120円でした。しかし、医療費は犬の年齢や健康状態、検査、治療、通院回数、動物病院などによって大きく変わります。

年間予算を作るときは、定期的に必要な医療費、急な受診の予備費、予防・健康管理費、保険料を分けて管理します。

医療費を抑える目的は「必要な診療を減らすこと」ではありません。費用の内訳を把握し、必要なときに受診できる資金を準備することが重要です。

参考:アニコム損害保険株式会社「2025最新版 ペットにかける年間支出調査」(2026年3月11日公表)、公益社団法人日本獣医師会「小動物診療料金」