犬を飼う前に知っておきたい出費|想定外になりやすい費用まで解説

犬を飼う前に知っておきたい出費|想定外になりやすい費用まで解説

犬を迎える前は、購入時の費用やフード代に目が向きやすいものです。ところが実際の家計では、病気やケガの診療、予防、用品の買い替え、冷暖房、預かりサービスなど、毎月同じ金額ではない支出が負担になりやすくなります。

アニコム損害保険が2026年3月11日に公表した「2025最新版 ペットにかける年間支出調査」では、同社のペット保険契約者へのアンケートで、犬1頭にかけた年間支出は413,416円でした。単純に12か月で割ると約34,451円ですが、これは毎月同額が必要という意味ではありません。犬の体格、年齢、健康状態、住まい、利用するサービスによって実際の支出は変わります。

 

犬を飼えるか判断するときは「毎月の平均額を払えるか」だけではなく、通常費を払いながら、年に数回の支出と急な出費にも対応できるかを確認することが大切です。

犬を飼う前に把握したい3種類の出費

犬にかかる費用は、迎えるときの初期費用・暮らし続けるための継続費・時期を読みにくい臨時費に分けると整理しやすくなります。

迎えるときに必要な初期費用

犬を迎えた初日から必要になるものとして、ケージやサークル、食器、トイレ用品、首輪・ハーネス、リード、寝床などがあります。迎え方によっては犬そのものの取得費用や登録などの手続きに関する支出もあります。

初期費用を考えるときのポイント

  • 初日から必要な用品と、後から追加できる用品を分ける
  • 犬の成長に合わせて買い替える可能性を考える
  • 安全対策や脱走対策など、住まい側の準備も確認する
  • 価格だけでなく、体格に合うサイズと使いやすさを優先する

最初から高価な用品をすべてそろえる必要はありません。一方で、犬の安全や食事、排泄に直接関わるものまで削りすぎると、後から買い直す原因になります。

毎月・毎年続く継続費

迎えた後は、フード、おやつ、トイレ用品などの消耗品に加え、健康管理や被毛の手入れ、生活環境を保つための費用が続きます。

費用の種類 主な内容
毎月出やすい費用 フード、おやつ、トイレ用品、消耗品
年に数回出やすい費用 予防、健康診断、トリミング、用品交換
季節で変わる費用 冷暖房、季節用品、外出対策

年に数回しか発生しない費用も、年間額にして12か月で割ると家計へ組み込みやすくなります。

発生時期が読みにくい臨時費

家計への影響が大きいのは、発生する時期や金額を事前に決めにくい支出です。代表的なのが、病気やケガの診療、壊れた用品の買い替え、急な預かり、移動手段の確保などです。

【臨時費として別に考えたい支出】

  • 病気・ケガによる診察、検査、薬、手術、入院
  • ケージやハーネス、ベッドなどの破損・サイズ変更
  • 飼い主の入院・出張・急用によるペットホテルやシッター
  • 緊急通院時のタクシーや送迎
  • 引っ越しや住環境変更に伴う追加対策

臨時費は「余った生活費から出す」のではなく、通常の飼育費とは別枠で備えておくと、急な支出が重なったときにも対応しやすくなります。

特に想定外になりやすい犬の出費

毎月の固定費とは別に、発生時期や金額を読みづらい支出があります。特に家計へ影響しやすい項目を分けて確認します。

病気やケガの診療費

犬には人のような公的医療保険がないため、動物病院の診療費は基本的に飼い主が負担します。診察だけで済むこともあれば、血液検査、画像検査、処置、投薬、手術、入院が必要になることもあります。

前述のアニコム損保の2025年分調査では、犬の「治療費」への年間支出は89,120円でした。ただし、これは調査回答者の平均であり、個々の犬の必要額を示すものではありません。年齢や病気の内容によって診療費は大きく変わります。

【医療費で大切なこと】

費用を理由に必要な受診を遅らせないための備えを、犬を迎える前から考えておきましょう。

用品の買い替えと追加購入

最初に買った用品をずっと使えるとは限りません。子犬なら成長でサイズが合わなくなり、成犬でも摩耗や破損、生活環境の変化によって交換が必要になります。

  • 首輪・ハーネスが体格に合わなくなる
  • ベッドやおもちゃを噛んで破損する
  • トイレ用品が犬との相性に合わず買い直す
  • 滑り止め、ゲート、暑さ・寒さ対策用品を追加する

初期用品は「一度買えば終了」ではなく、消耗品や買い替え費も含めて考えておくと予算との差が小さくなります。

冷暖房など住環境の費用

犬が長時間過ごす部屋では、留守番中も含めて室温管理が必要になる場合があります。アニコム損保の2025年分調査では、「飼育に伴う追加の光熱費」は年間22,273円でした。

実際の増加額は、地域、住宅性能、季節、在宅時間、犬の年齢や健康状態などで変わります。平均値をそのまま使うのではなく、現在の光熱費と、犬を迎えた後に空調を使う時間の変化を考えてください。

旅行・出張・飼い主の入院時の預かり費用

犬を連れて行けない旅行や出張だけでなく、飼い主自身の入院や家族の急用で預け先が必要になることがあります。ペットホテルやペットシッターは、地域、犬の大きさ、利用時間、繁忙期、送迎の有無などで料金が変わります。

迎える前に確認しておきたいこと

  • 自宅近くで利用できるペットホテル・シッター
  • 営業時間と緊急時の対応可否
  • 予防接種など利用条件
  • 繁忙期や時間外の追加料金
  • 預け先までの移動方法

料金だけでなく、実際に預けられる条件まで確認しておくと、急な予定変更にも対応しやすくなります。

生活スタイルによって増えやすい費用もある

同じ犬でも、留守番・旅行・移動の多さなど家庭の生活スタイルで必要な支出は変わります。自分の暮らしに近い場面から見積もります。

留守番時間が長い家庭

仕事などで家を空ける時間が長い場合は、見守り環境を整えたり、必要に応じてシッターや家族の協力を利用したりすることがあります。機器を一度買えば終わりとは限らず、サービス利用料や通信費が継続する場合もあります。

旅行・帰省・出張が多い家庭

年1回だけ預ける家庭と、毎月のように宿泊を伴う外出がある家庭では年間負担が大きく違います。過去1年間の旅行・帰省・出張の日数を数え、犬を連れて行けない日がどの程度あるかを確認すると現実的に見積もれます。

賃貸住宅で犬を迎える家庭

賃貸では「ペット可」だけでなく、飼育できる犬の大きさ・頭数、追加敷金、家賃条件、退去時の原状回復などを確認します。条件は物件ごとに異なるため、契約書や管理会社の説明を犬を迎える前に確認してください。

車を使わずに犬と移動する家庭

通院、トリミング、預け先への移動で交通費が発生することがあります。公共交通機関は持ち込み条件が事業者ごとに異なり、タクシーも犬の同乗可否や追加条件が異なります。

普段の通院方法だけでなく、夜間や休日に急いで受診するときの移動方法まで決めておくと安心です。

節約しやすい費用と削らない費用を分ける

犬の出費を抑えるときは、すべてを同じ割合で削るのではなく、生活の安全や健康に直結するかで優先順位を付けます。

見直しやすい費用 安易に削らない費用
重複している用品、使っていないサービス、必要以上の買い替え 必要な食事・飲水、緊急受診、獣医師と決めた予防、安全な生活環境

高額になりやすいのは、急な入院・手術、長期治療、長期の預かりや移動が重なったときです。毎月の生活費とは別に臨時費の枠を持つと、必要な支出を慌てて削りにくくなります。

一時費用としては、迎え入れ時の用品購入、登録・初回受診、生活環境を整えるための買い足しなどがあります。毎月発生する費用と混ぜず、迎え入れ前後に集中する支出として別枠で見積もります。

犬の出費を家計へ組み込む方法

費用項目を把握したら、月額だけでなく年間予定と臨時費へ分けて家計へ落とし込みます。

まず1年間の予定費を作る

毎月のフード代だけを見るのではなく、1年間で必要になる費目を書き出します。毎月の支出、年に数回の支出、臨時費を分けておくと、家計への負担が見えやすくなります。

【年間予算を作る順番】

  1. 毎月必要なフード・日用品を合計する
  2. 予防・健康管理・ケアなど年単位の支出を加える
  3. 用品交換や預かりなどの予定費を加える
  4. 急な医療費などの臨時費を別枠で用意する

年に数回の支出は月割りで積み立てる

予防や健康診断、トリミング、用品の買い替えなどは毎月発生しなくても、年間では必要になります。年間予定額を12か月で割り、毎月少しずつ取り分けると、支払月だけ家計が大きく膨らむのを抑えやすくなります。

臨時費は通常費とは別に確保する

病気やケガ、急な預かりなどは、発生する時期を予測できません。毎月の飼育費をぎりぎりまで使い切る予算ではなく、すぐ使える犬用の予備費を別に持つ方法を検討してください。

医療費は貯蓄と保険の両方から考える

医療費への備え方には、犬用の貯蓄を作る方法と、ペット保険を検討する方法があります。保険を利用する場合は、保険料だけではなく、補償割合、通院・入院・手術の扱い、対象外となる診療、支払限度、待機期間、加入・更新条件などを確認します。

ペット保険に加入していても、すべての診療費が補償されるわけではありません。保険だけに頼らず、自己負担分や対象外費用へ対応できる資金も考えておきましょう。

犬を迎える前の家計チェック

  • 毎月の基本飼育費を継続して支払えるか
  • 年に数回必要な健康管理費を積み立てられるか
  • 急な診療に使える予備費があるか
  • 旅行・出張・入院時の預け先と費用を確認したか
  • 賃貸の場合は追加費用や飼育条件を確認したか
  • 用品の買い替えが重なっても対応できるか
  • 今後、収入が減った時期でも飼育を続けられるか

平均的な飼育費が払えるかだけでは、犬を無理なく飼い続けられるかは判断できません。自分の住まい、働き方、外出頻度、家族構成まで含めて考えることが重要です。

「毎月いくら」だけでなく急な出費まで考えて迎える

犬を飼う前に考えたいのは、初期費用や毎月のフード代だけではありません。予防や健康管理、用品交換、冷暖房、預かり、移動、そして病気やケガの診療など、時期を読みにくい費用があります。

通常の飼育費を支払いながら、年単位の支出を積み立て、急な出費にも対応できる家計かどうかを犬を迎える前に確認してください。

一度作った予算も固定せず、実際の支出、犬の年齢や健康状態、フードやサービス料金の変化に合わせて見直していくことが、長く安心して暮らすための準備になります。