犬のIgE検査は、血液中のアレルゲン特異的IgE抗体を調べる検査です。花粉、ハウスダスト、ダニなど環境中のアレルゲンへの反応を確認する目的で使われることがあります。
ただし、IgE検査だけで「この犬はアトピー性皮膚炎」「この食材が原因」と確定できるわけではありません。診察、皮膚検査、寄生虫・感染症の除外、食事歴、症状の季節性などと組み合わせて結果を解釈します。
費用を見るときは、IgE検査本体だけでなく、診察料・採血料・皮膚検査・必要な追加検査まで含めた総額を確認しましょう。
犬のIgE検査で費用に含まれやすい項目
費用は一つの金額だけでなく、内訳と追加条件を分けて見ると実際の負担を把握しやすくなります。
| 項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| 診察料 | かゆみの部位、季節性、食事、治療歴などを確認 |
| 採血料 | IgE検査用の血液を採取 |
| IgE検査 | 環境アレルゲンなどへの特異的IgEを測定 |
| 皮膚検査 | 寄生虫・細菌・マラセチアなどを除外 |
| 真菌検査 | 皮膚糸状菌症が疑われる場合 |
| 追加アレルギー検査 | リンパ球反応検査などを必要に応じ追加 |
| 治療費 | かゆみ止め、外用薬、食事療法など |
IgE検査の料金は動物病院によって異なる
現在公開されている動物病院の料金例では、犬のIgE検査として11,000円、15,400円、24,200円などの設定が見られます。
たとえば、桜井動物病院ではアレルギー検査IgEを11,000円、きむら動物診療室では血清IgE検査を15,400円、犬と猫の病院パルケでは特異的IgE検査40項目を24,200円と案内しています。
一方、アニキュア動物病院では、犬のアレルギー検査としてIgE検査とリンパ球反応検査のセットを40,700円としています。
同じ「アレルギー検査」でも、IgE単独なのか、リンパ球反応検査まで含むのかで料金は大きく変わります。
料金表の「アレルギー検査」がIgE検査とは限らない
動物病院によっては、料金表に「アレルギー検査」とだけ記載され、IgE検査・リンパ球反応検査・皮内反応検査のどれを指すか分かりにくい場合があります。
見積もりでは、検査名と対象アレルゲン数を確認してください。
確認したい検査名
- アレルゲン特異的IgE検査
- リンパ球反応検査
- 皮内反応試験
- IgE+リンパ球反応検査のセット
IgE検査は何を調べる検査?
アニコムの解説では、アレルゲン特異的IgE検査は、血液中の特定アレルゲンに対するIgE抗体を測定し、花粉やハウスダストなど環境アレルゲンへの反応を確認する検査とされています。
採血で行えるため、皮内反応試験のように複数箇所へアレルゲンを注射する必要はありません。
IgE検査だけでアトピー性皮膚炎を診断しない
Merck Veterinary Manualでは、血清IgE検査や皮内反応検査はアトピー性皮膚炎の診断補助であり、検査単独で診断するものではないとしています。
IgEが高いという結果は、そのアレルゲンへ曝露・感作されている可能性を示しますが、実際の症状の原因かどうかは病歴や季節性と照らし合わせて判断します。
「陽性=必ず原因」「陰性=絶対にアレルギーではない」と単純には判断できません。
IgE検査の主な目的は環境アレルゲンの把握
Merck Veterinary Manualでは、アトピー性皮膚炎の犬でIgE検査や皮内反応試験を行う主な目的は、原因候補となる環境アレルゲンを特定し、アレルゲン特異的免疫療法の内容を決めることとしています。
花粉、ダニ、カビなど、生活環境中のアレルゲンへの反応を確認する場面で使われます。
食物アレルギーはIgE検査だけで確定しない
食物アレルギーが疑われる場合、AAHAでは除去食試験と、その後の食物負荷試験が診断の基本としています。
血液によるIgE検査で食物項目が測定されることもありますが、検査結果だけで「この食材を一生禁止」と決めるのは避けます。
除去食試験中は、おやつ、味付き薬、サプリなども含めて食事内容を厳密に管理する必要があります。
リンパ球反応検査を追加すると費用が増える
食物関連の反応評価としてリンパ球反応検査を追加する場合があります。
現在公開されている例では、犬と猫の病院パルケで主要食物9項目22,000円、除去食9項目22,000円、きむら動物診療室で各20,900円と案内されています。
IgE検査と組み合わせると、検査費だけで数万円になることがあります。
皮膚検査が別に必要になることが多い
かゆみがある犬では、IgE検査をする前に、ノミ・ダニ、細菌、マラセチア、皮膚糸状菌などを確認することが重要です。
AAHAでは、アレルギー性皮膚疾患の評価で、病歴と身体検査に加え、皮膚細胞診、皮膚掻爬、ノミ評価、必要に応じ真菌検査などを行う流れを示しています。
これらの皮膚検査費用はIgE検査とは別にかかる場合があります。
診察料・採血料が別の場合がある
料金表にIgE検査の金額だけが掲載されていても、初診料・再診料・採血料が別になることがあります。
アニキュア動物病院では採血料を1,500円と別に案内しています。
そのため、「IgE検査15,400円」と表示されていても、実際の支払額が15,400円ちょうどとは限りません。
検査結果が出た後の治療費も考える
IgE検査は検査をして終わりではありません。
結果と症状をもとに、環境対策、薬物療法、スキンケア、アレルゲン特異的免疫療法などを検討することがあります。
- かゆみ止め
- 外用薬・シャンプー
- 二次感染への治療
- 環境対策
- 免疫療法
- 再診・再検査
長期管理が必要なアトピー性皮膚炎では、初回検査費だけでなく継続治療費も確認します。
アレルゲン特異的免疫療法を始める場合
IgE検査や皮内反応試験で得た情報は、アレルゲン特異的免疫療法の内容を決めるために使われることがあります。
Merck Veterinary Manualでは、環境アレルゲン検査の主な目的として免疫療法用アレルゲンの選択を挙げています。
免疫療法を行う場合は、IgE検査費とは別に治療薬・注射・再診などの費用が発生します。
検査を繰り返せばよいわけではない
IgE検査は、定期健診のように毎年必ず受ける検査ではありません。
症状、治療方針、免疫療法の必要性などから、再検査が必要か獣医師が判断します。
前回の検査結果がある場合は持参し、同じ検査を繰り返す必要があるか確認します。
見積もりでは「検査前」と「検査後」の費用を分ける
費用は一つの金額だけでなく、内訳と追加条件を分けて見ると実際の負担を把握しやすくなります。
【見積もりで確認したい項目】
- 初診・再診料
- 採血料
- IgE検査本体
- 測定するアレルゲン項目数
- 皮膚細胞診・皮膚掻爬・真菌検査
- リンパ球反応検査
- 結果説明の再診料
- 薬・シャンプー
- 免疫療法を始める場合の費用
「IgE検査はいくらですか?」だけでなく、「今日から結果説明までの総額はいくらくらいですか?」と確認すると分かりやすくなります。
ペット保険は検査目的で扱いが変わる
アニコム損保では、アレルギーを疑う症状があり、治療の一環として行う検査は補償対象になる一方、予防目的や健康体への検査、減感作療法やその事前検査などは対象外と案内しています。
保険会社・契約によって条件は異なるため、IgE検査を受ける前に確認します。
- 症状がある検査は補償対象か
- IgE検査の扱い
- 通院限度額
- 免責金額
- 既往症の扱い
- 免疫療法の補償
公開されている料金例は「平均」ではない
動物病院の料金表に掲載されている11,000円、15,400円、24,200円などは、その施設での料金例です。
全国平均ではなく、測定項目、外注先、採血料、診察料、検査セット内容によって金額は変わります。
料金を比較するときは、同じ検査内容かを確認します。
IgE検査を受ける時期を確認したい場合
IgE検査がどんな症状で検討されるのか、検査前に薬や食事をどうするかは次の記事で整理しています。
アレルギー検査全体の費用も比較する
IgE検査以外にも、リンパ球反応検査や皮内反応試験などがあります。それぞれ目的と費用が異なるため、アレルギー検査全体の費用は次の記事でも確認できます。



