犬が咳をするときはどうする?自宅で確認したいことと受診の目安

犬が咳をするときはどうする?自宅で確認したいことと受診の目安

犬が咳をしているときは、まず呼吸が苦しくないか、ぐったりしていないか、普段どおり食べたり飲んだりできるかを確認してください。

咳は、のど・気管・気管支・肺・心臓などさまざまな原因で起こるため、音だけで病名を決めることはできません。

呼吸が苦しい、舌や歯ぐきが青白い、倒れる、意識がおかしい場合は、咳の回数を数えるより受診を優先します。

最初に確認するのは「咳」より呼吸の状態

咳が少なくても、呼吸が苦しい場合は緊急性があります。

  • 安静にしていても呼吸が速い
  • 胸やお腹を大きく使って呼吸する
  • 首を伸ばして呼吸する
  • 横になれず落ち着かない
  • 口を開けて苦しそうに呼吸する
  • 舌・歯ぐきが青い、灰色、白っぽい
  • 倒れる、反応が鈍い

VCAは、呼吸困難や息切れがある場合は救急受診を勧めています。Merck Veterinary Manualでも、呼吸困難や浅い呼吸は直ちに受診すべきサインとされています。

呼吸が苦しそうなら動画撮影より受診を優先する

咳や呼吸の様子を動画に撮ると診察時の参考になりますが、撮影のために受診を遅らせないでください。

動画は「安全に撮れるときだけ」。呼吸が苦しいときは、病院へ連絡して移動方法を確認します。

移動中も、首や胸を強く締め付けるものは避け、犬が楽に呼吸できる姿勢を保ちます。

呼吸が落ち着いているなら咳の様子を記録する

緊急性が低そうに見える場合は、次の項目を記録します。

確認項目 記録する内容
回数 1日に何回、何分続くか
タイミング 夜、朝、運動後、興奮時など
音 乾いた咳、湿った咳、ガーガー音など
前後の様子 えずく、吐く、鼻水など
全身状態 元気、食欲、体重、発熱の有無

咳の音は文章で表現しにくいため、可能なら動画が最も役立ちます。

「咳」と「えずき」「逆くしゃみ」を分けて記録する

犬では、咳、えずき、逆くしゃみ、吐こうとする動作が似て見えることがあります。

飼い主が正確に区別できなくても問題ありません。何が起きたかを動画で残し、「咳だと思う」と伝えるだけでも診察の助けになります。

病名を自己判断するより、動作の特徴とタイミングを記録してください。

安静時の呼吸数も確認する

咳がある犬では、安静時・睡眠時の呼吸数を記録すると役立つことがあります。

犬が眠っているか静かに休んでいるときに、胸が上下する回数を30秒数え、2倍すると1分間の呼吸数になります。

VCAでは、健康な犬や安定した心疾患の犬では、安静時・睡眠時呼吸数は一般に1分15〜30回程度と案内しており、30回を超える状態が持続する場合は異常として獣医師への相談を勧めています。

呼吸数は1回だけで判断せず、同じ条件で複数回確認します。

ただし、暑い、興奮している、運動直後などは呼吸が速くなるため、測定には向きません。

運動時・興奮時だけ咳が出るか確認する

散歩、走った後、来客時、首輪を引っ張ったときなど、特定の場面だけ咳が出る場合があります。

記録しておきたい場面

  • 散歩中
  • 走った直後
  • 興奮したとき
  • 水を飲んだ後
  • 食事後
  • 首輪を引っ張ったとき
  • 夜間・明け方

「いつ出るか」は原因を考える手がかりになります。

夜間・睡眠中の咳も確認する

夜や寝ているときに咳が増える場合は、日中だけの観察では分からないことがあります。

夜間に何度も起きる、横になると咳が増える、眠れないほど続く場合は、その点も獣医師へ伝えます。

鼻水・発熱・食欲低下がある場合は感染症も考えて受診する

咳に加えて、鼻水、目やに、発熱、元気消失、食欲低下などがある場合は、呼吸器感染症なども考えられます。

VCAは、繰り返す咳、鼻汁、速い・苦しそうな呼吸、元気消失、食欲低下などがある場合は診察を受けるよう案内しています。

犬が集まる場所へ行っていた場合は、受診前に病院へ「咳がある」と伝えてください。

他の犬との接触は一時的に控える

咳の原因が感染症かどうかは診断しないと分かりませんが、感染性呼吸器疾患の可能性を考え、原因が分かるまでは他の犬との濃厚接触を避ける方が安全です。

  • ドッグラン
  • 犬の保育園
  • ペットホテル
  • 共同の水皿
  • 多頭が密集するイベント

同居犬がいる場合は、咳や鼻水が出ていないかも観察します。

首輪が咳を誘発するなら首への圧迫を減らす

散歩中に首輪を引っ張ると咳が出る場合は、首への圧迫を減らす工夫を検討します。

ただし、ハーネスへ変えれば病気が治るという意味ではありません。咳が続く場合は受診してください。

自己判断で人用の咳止めを与えない

人用の咳止め、風邪薬、解熱鎮痛薬などを自己判断で犬へ与えないでください。

犬に適さない成分が含まれる場合があり、原因によっては咳を抑えること自体が適切でないこともあります。

以前処方された犬用薬が残っていても、今回の咳へ自己判断で再利用せず、獣医師へ確認します。

咳が続く場合はどのくらいで受診する?

Merck Veterinary Manualでは、持続する咳は24時間以内に獣医師へ相談する症状として挙げられています。

VCAも、短時間で治まらない咳や繰り返す咳では受診を勧めています。

「数日待てばよい」と一律には決められません。子犬、シニア犬、心臓・呼吸器の持病がある犬では、早めに相談します。

すぐ受診したい症状

  • 呼吸が苦しい
  • 安静にしていても呼吸が速い
  • 舌・歯ぐきが青白い、灰色
  • 倒れる・失神する
  • ぐったりして反応が悪い
  • 何度も激しく咳き込む
  • 血が混じる
  • 食べられない・水も飲めない

呼吸困難、失神、粘膜色の異常がある場合は、通常診療を待たず救急対応を検討してください。

受診時に伝えると役立つ情報

項目 伝える内容
開始時期 いつから咳が出たか
頻度 1日何回、何分続くか
誘因 運動、興奮、夜間、首輪など
動画 咳の音・姿勢・前後の様子
併発症状 鼻水、発熱、食欲低下など
背景 年齢、持病、薬、ワクチン歴

ペットホテルやドッグランなど、多数の犬と接触した時期があれば、その情報も伝えます。

病院ではどんな検査が検討される?

咳の原因を調べるために、身体検査、胸部レントゲン、血液検査などが検討されることがあります。

心臓病が疑われる場合は心臓超音波や心電図、感染症が疑われる場合は追加検査が行われることもあります。

検査内容は犬の状態によって異なるため、すべての犬に同じ検査をするわけではありません。

原因を詳しく知りたい場合は別記事で確認する

咳の原因には、感染症、気管の病気、心臓病、肺の病気、異物などさまざまなものがあります。

診療費を確認したい場合

あわせて確認したい関連記事

関連する基礎知識もあわせて確認すると、次に何を確認・準備すべきか整理しやすくなります。

自宅で記録するチェックリスト

  • 呼吸が苦しくない
  • 安静時呼吸数を測った
  • 咳の動画を安全に撮れた
  • 咳の回数・時間帯を記録した
  • 運動・興奮との関係を確認した
  • 鼻水・発熱・食欲低下を確認した
  • 他の犬との接触歴を確認した
  • 薬を自己判断で使っていない
  • 症状が続く場合は受診予定を立てた
  • 呼吸困難などがあれば救急を優先する

犬が咳をしているときは、まず呼吸状態と全身状態を確認します。

呼吸が苦しい、粘膜色がおかしい、倒れる場合は、咳の原因を調べるより先に受診を優先してください。

呼吸が安定している場合は、咳の回数、タイミング、動画、安静時呼吸数、鼻水・食欲などを記録します。

持続する咳や繰り返す咳は、軽く見ず獣医師へ相談しましょう。