犬が目やにが多い原因は?考えられることと動物病院で伝えたいポイント

犬の目やにが多い原因は?考えられることと動物病院で伝えたいポイント

犬の目やにが多い原因は一つではありません。正常な新陳代謝で少量つくこともあれば、結膜炎、角膜の傷、異物、ドライアイ、アレルギー、まぶたやまつ毛の異常などが関係することもあります。

目やにの色だけで病気を判断することはできません。量、片目か両目か、赤み、痛み、涙、目を細める・こするなどの症状を合わせて確認することが重要です。

受診時には「いつから増えたか」「片目か両目か」「色・量」「赤み・痛み・濁り」「目をこするか」を具体的に伝えましょう。

少量の目やには正常な範囲のこともある

寝起きなどに目頭へ少量の目やにが付くことはあります。目を普通に開けており、赤みや痛みがなく、量が増えていない場合は生理的なこともあります。

ただし、普段より明らかに増えた、粘りが強くなった、片目だけ急に増えた場合は原因を確認します。

まず確認する5項目

  • いつから増えたか
  • 片目か両目か
  • 量が急に増えたか
  • 赤み・腫れ・濁りがあるか
  • 目を細める・こするなど痛そうな行動があるか

目やにの色だけで原因を決めない

透明、白、茶色、黄色、緑色など、目やにはさまざまな見え方をします。

黄色や緑色の粘りのある分泌物は感染や強い炎症で見られることがありますが、色だけで細菌感染と断定することはできません。

Merck Veterinary Manualでも、結膜炎は見た目だけでは原因を特定できず、病歴、身体検査、涙量検査、細胞検査などが必要になることがあるとしています。

結膜炎では赤み・腫れ・目やにが見られる

結膜炎は、まぶたの内側と眼球表面の一部を覆う結膜に炎症が起こった状態です。

Merck Veterinary Manualでは、主な症状として結膜の赤み、腫れ、眼脂、軽い不快感などが挙げられています。

原因は感染だけではなく、異物、環境刺激、アレルギー、涙の異常、まぶたの形などさまざまです。

片目だけなら異物・傷など局所的な原因も考える

片目だけ目やにが増えている場合は、草の種やほこりなどの異物、角膜の傷、涙の通り道の炎症など、片側だけで起きる問題も候補になります。

Merck Veterinary Manualでは、片目の結膜炎で異物、涙嚢の炎症、ドライアイなどが関係する場合があるとしています。

片目だけ急に目やにが増え、目を細める・こする・涙が多い場合は、傷や異物も考えて早めに診察を受けてください。

角膜の傷・潰瘍では痛みを伴うことがある

角膜は目の表面にある透明な組織です。爪で引っかく、草や異物が当たる、化学物質が入るなどで傷つくことがあります。

Merck Veterinary Manualでは、角膜潰瘍で痛み、角膜の不整、腫れ、血管新生などが見られることがあるとしています。

角膜トラブルを疑うサイン

  • 目を細める・閉じたままにする
  • 涙が急に増える
  • 前足で目をこする
  • 黒目が白く・青く濁る
  • 強い赤みがある

ACVOも、赤み、目を細める、涙が増える、こする行動を眼の痛み・不快感のサインとして挙げています。

ドライアイでは粘りのある目やにが増えることがある

涙の量が不足する乾性角結膜炎(ドライアイ)では、目の表面が乾燥し、粘液性の目やに、赤み、刺激感などが出ることがあります。

結膜炎が繰り返す、粘りの強い目やにが続く場合は、涙量の評価が必要になることがあります。

診察では、シルマー涙液試験で涙の量を測定することがあります。

まぶた・まつ毛の異常で目の表面が刺激されることがある

眼瞼内反、眼瞼外反、異所性睫毛、重生睫毛など、まぶたやまつ毛の異常で目の表面が慢性的に刺激されると、涙や目やにが増えることがあります。

VCAでも、まぶたやまつ毛の異常は結膜炎や流涙の原因として挙げられています。

何度治療しても同じ目だけ再発する場合は、構造的な原因も含めて確認します。

アレルギーや環境刺激でも目やにが増える

花粉、ほこり、煙などの刺激やアレルギー反応で、結膜炎や涙の増加が起こることがあります。

両目に同時に症状が出る、季節によって繰り返す、皮膚や耳にもアレルギー症状がある場合は、その情報も伝えます。

涙の排出経路の異常で目の周りが濡れることもある

目やにが多いように見えても、実際には涙があふれて目の周囲が常に濡れている場合があります。

VCAでは、涙が増える原因として目の刺激・炎症のほか、涙の排出路の問題や顔の構造なども挙げています。

目頭が常に濡れる、涙やけが目立つ場合は、目の表面だけでなく涙の通り道も評価することがあります。

感染症が関係することもある

細菌・ウイルスなどが結膜炎に関係する場合があります。

ただし、犬では感染だけが目やにの原因とは限らず、傷・異物・ドライアイ・まぶたの異常などに二次的な感染が加わる場合もあります。

黄色・緑色の目やにを見て自己判断で抗菌目薬を使うのではなく、原因を確認することが重要です。

子犬では感染症や先天的な異常も確認する

子犬で目やにが多い場合も、結膜炎、異物、涙の異常など一般的な原因を確認します。

一方で、ワクチン接種状況や全身症状によっては感染症を考える必要もあります。

鼻水、咳、下痢、発熱、元気低下などを伴う場合は、目だけの問題として扱わず受診します。

短頭種では目の表面トラブルに注意する

パグ、フレンチ・ブルドッグ、シーズーなど短頭種では、目が前方へ出ている、まぶたが閉じにくいなどの特徴から、目の表面が刺激や乾燥の影響を受けやすい犬がいます。

日常的に目やにが出る犬でも、量が増えた、痛がる、濁るなど普段との違いがあれば受診します。

目の周囲の毛が刺激していないか確認する

顔まわりの毛が長い犬では、毛が目へ触れて刺激になることがあります。

目頭の毛が濡れて固まっている、毛先が眼球へ触れている場合は、顔まわりのケアも見直します。

ただし、目のすぐ近くを自宅でハサミで切るのは危険です。難しい場合はトリマーや動物病院へ相談してください。

目やにを取るときは周囲だけをやさしく拭く

目やにが付いている場合は、清潔なガーゼなどで目の周囲をやさしく拭きます。

乾いて固まった目やにを無理にはがしたり、眼球表面を強くこすったりしないようにします。

  • 手を洗ってから触る
  • 清潔なガーゼを使う
  • 目頭から外側へやさしく拭く
  • 左右で同じ面を使い回さない
  • 眼球そのものをこすらない

人用の目薬や残っている目薬を自己判断で使わない

目やにが多いからといって、人用の目薬や以前処方された点眼薬を自己判断で使うのは避けます。

角膜潰瘍がある場合など、病気によっては使うべきでない成分があります。見た目が似ていても原因が同じとは限りません。

目の症状は薬の選択を誤ると悪化することがあるため、点眼薬は獣医師の診断と指示に基づいて使用してください。

すぐ受診したいサイン

緊急性を判断するときは、次の変化がないかを先に確認します。

【受診を急ぎたい状態】

  • 目を開けられない、強く細めている
  • 前足や床で激しくこする
  • 黒目が白い・青い・濁っている
  • 強い赤みや腫れがある
  • 黄色・緑色・血の混じった分泌物が急に増えた
  • 眼球が飛び出している、形が明らかにおかしい
  • 外傷・異物・薬品が入った可能性がある
  • 急に見えにくそうになった

VCAでは、黄色・緑・赤色の眼脂、強い充血、目を細める、眼球の突出、角膜の濁りなどを早めの診療が必要な眼症状として挙げています。

動物病院ではまず目の表面と涙を確認する

診察では、目やにの性状、結膜、角膜、まぶた、まつ毛などを確認します。

必要に応じて次の検査を行います。

検査 主に確認すること
シルマー涙液試験 涙の産生量
フルオレセイン染色 角膜の傷・潰瘍
眼圧測定 緑内障・ぶどう膜炎などの評価
細胞診・培養 感染や炎症の評価が必要な場合
眼瞼・涙管の評価 構造や涙の排出異常

Merck Veterinary Manualでも、結膜炎の原因評価では病歴・診察に加え、シルマー涙液試験や細胞検査などが必要になることがあるとしています。

受診時に伝えたい9項目

診察時に経過を正確に共有できるよう、次の情報を整理しておくと役立ちます。

  • いつから目やにが増えたか
  • 片目か両目か
  • 色・量・粘り
  • 赤み・腫れ・濁りの有無
  • 目を細める・こするか
  • 涙が増えたか
  • 散歩中の草・砂・異物への接触
  • 最近使ったシャンプーや薬
  • 過去の眼病・点眼薬

症状が日によって変わる場合は、目やにが多いときの写真や、目をこする様子の動画も診察の参考になります。