犬を飼う費用は、迎えるときの初期費用だけでは終わりません。飼い始めた後はフードや日用品などの生活費が続き、予防・健康管理、トリミング、用品の買い替え、病気やケガによる医療費なども発生します。
アニコム損保が2026年3月11日に公表した、同社のペット保険契約者を対象とする2025年分の調査では、犬1頭にかけた年間支出は平均413,416円でした。ただし、これは保険契約者5,494人へのアンケート結果であり、すべての家庭に必要な金額を示すものではありません。
犬にかかるお金は「迎えるとき」「毎月」「毎年」「必要時」「生涯」の5つに分けて考えると、家計に必要な予算を整理しやすくなります。
犬を飼う費用は5つに分けて考える
最初から「犬には年間いくら必要」と一つの数字だけで考えると、迎え入れ時の出費や突然の医療費が抜けやすくなります。まず支出の発生時期で分けてください。
犬にかかる費用の5分類
- 初期費用:迎え入れ費用、ケージ、食器、トイレ用品、首輪・ハーネスなど
- 毎月の費用:フード、おやつ、ペットシーツ、消耗品、保険料など
- 毎年の費用:予防、健康診断、トリミング、用品交換など
- 臨時費用:病気・ケガ、急な預かり、設備の買い替えなど
- 生涯費用:子犬期からシニア期までに積み重なる総支出
同じ犬でも、体格、年齢、健康状態、食事内容、トリミング頻度、保険加入、住環境、旅行や留守番時のサービス利用によって支出は大きく変わります。
迎えるときの初期費用は「犬そのもの」と「生活準備」を分ける
初期費用には、犬の迎え入れにかかる費用と、生活を始めるための用品費があります。購入先や譲渡条件によって迎え入れ費用は大きく異なるため、用品代だけを見て予算を決めないようにします。
生活準備では、少なくとも次のような項目を確認します。
- ケージ・サークル
- ベッド
- フードと食器
- 給水用品
- トイレ・ペットシーツ
- 首輪またはハーネス、リード
- キャリー
- お手入れ用品
- 住環境に応じた滑り止め・柵など
最初から高価な用品をすべて揃えるより、安全上必要なものを優先し、犬の体格や性格が分かってから買い足す方が無駄を減らしやすくなります。
毎月かかる費用は家計の固定費として考える
犬を迎えた後、家計へ継続的に影響するのがフード、日用品、保険料などです。ここは「平均額」ではなく、実際に選ぶ商品と使用量から計算するのが基本です。
毎月確認したい支出
- 主食となるドッグフード
- おやつ・デンタル用品
- ペットシーツなどの消耗品
- シャンプーやケア用品
- ペット保険料
- 定期的に利用するサービス
大型犬ではフードや一部用品の使用量が増えやすく、シニア期には食事内容やケア用品が変わることもあります。毎月の金額を一度決めて固定するのではなく、実際の支出に合わせて更新します。
年間費用は月額の12倍だけでは計算できない
毎月の生活費を12か月分にしただけでは、犬の年間費用を十分に把握できません。予防や健康診断、トリミング、用品交換など、年に数回発生する費用を別に加える必要があります。
アニコム損保の2025年分調査では、犬1頭への年間支出は平均413,416円でした。内訳では治療費が89,120円、飼育に伴う追加の光熱費が22,273円などとされています。
この413,416円は「犬を飼うなら必ず必要な標準額」ではありません。 ペット保険契約者を対象とした調査なので、自分の家庭では現在選んでいるフード、予防、医療、ケア、サービス料金から積み上げて考えてください。
突然の医療費や予定外の出費は通常予算と分ける
病気やケガは、いつ起こるか、いくら必要になるかを正確には予測できません。さらに、急なペットホテル利用、エアコンなど住環境設備の故障、ケージやキャリーの買い替えなども予定外の支出になります。
【予備費を考えるときの確認項目】
- 急な動物病院代を家計から支払えるか
- ペット保険に加入するか、補償範囲と自己負担はいくらか
- 犬専用ですぐ使える貯蓄があるか
- 年齢や持病に応じて予備費を見直せるか
- 旅行・入院などで急に預け先が必要になった場合に対応できるか
予防や必要な医療を削って家計を合わせるのではなく、削れる費用と削らない方がよい費用を分けて考えることが重要です。
生涯費用は一つの金額を断定せず長期予算として考える
一般社団法人ペットフード協会の2025年全国犬猫飼育実態調査では、犬の平均寿命は14.82歳、生涯必要経費は2,784,190円と算出されています。生涯必要経費は、犬の年齢ごとに算出した平均支出額を平均寿命まで足し上げた値です。
一方、アニコム損保の年間支出調査は調査対象や集計項目が異なります。そのため、413,416円×14.82年のように単純計算して「生涯費用はこの金額」と断定するのは適切ではありません。
生涯では、子犬期・成犬期・シニア期で支出の中身も変わります。フード、予防、トリミング、医療、介護、住環境の変更などを長期的に見込むことが大切です。
犬の費用を節約するときは優先順位を決める
犬との暮らしを長く続けるには、支出を抑える工夫も必要です。ただし、すべてを同じように削るのではなく、生活や健康への影響で優先順位を決めます。
見直しやすい費用
費用は一つの金額だけでなく、内訳と追加条件を分けて見ると実際の負担を把握しやすくなります。
- 使っていない用品の追加購入
- 必要以上の洋服やアクセサリー
- 重複しているケア用品
- 送料や購入方法を見直せる定期消耗品
- 利用頻度が低い有料サービス
安さだけで削らない方がよい費用
費用は一つの金額だけでなく、内訳と追加条件を分けて見ると実際の負担を把握しやすくなります。
- 必要な食事
- 法令上必要な手続きや予防
- 獣医師から必要と説明された治療
- 安全に直結する首輪・ハーネス・キャリーなど
- 犬の体調維持に必要な室温管理
特に医療費は「受診を遅らせる」という節約方法を選ばないことが大切です。症状によっては早期受診の方が犬への負担だけでなく、結果的な治療費を抑えられる場合もあります。
迎える前に自分の家庭の予算表を作る
平均額を見るだけでなく、実際に犬を迎えた場合の支払い能力を確認してください。難しい計算は必要ありません。
| 区分 | 予算に入れるもの |
|---|---|
| 迎えるとき | 迎え入れ・用品・住環境準備 |
| 毎月 | フード・日用品・保険など |
| 毎年 | 予防・健診・ケア・用品交換 |
| 必要時 | 医療・預かり・急な買い替え |
| 長期 | シニア期・介護を含む生涯の備え |
年単位で支払う費用は12か月で割って毎月積み立て、臨時費用は通常の生活費と別枠で確保すると管理しやすくなります。



