犬に有効な感染症予防まとめ

犬を突然襲う感染症の種類はさまざま。成犬の場合は、感染したとしても症状が出ず自然治癒することもありますが、子犬や老犬など免疫力の低い犬の場合、命に関わります。飼い主が予防対策を行うことで、小さな命を守ることができますから、感染症予防は確実に行っておきましょう

まず行うべき感染症予防が、ワクチン接種です。ワクチンにも個体によっては副作用があるともいわれていますが、おおむねあらゆる感染症から犬を守ることができます

また、もしも飼い犬が感染症になってしまった場合には、それ以上ウィルスや細菌を生存させないためにも、徹底的な消毒が必要です。ウィルスの中には1年も同じ状態で生存できるものもあるため、消毒が不十分だと、他の犬や新しく迎える犬にも感染しかねません。

まずは、病気の犬の隔離を行います。消毒は、塩素系消毒薬が比較的有効で、アルコール、クレゾール、逆性石鹸などはあまり効果が期待できません。消毒液は、ハイターやブリーチなどの塩素系衣類用漂白剤20ccと水500ccを混ぜてつくります。排泄物やエサで汚れている場所では効きにくいため、あらかじめ汚れをふき取ってから使用しましょう。

犬の感染症を防ぐ予防接種

大切な愛犬を感染症から守るためにも、早めに対策をとりましょう。予防としては、予防接種としてワクチンを接種することが先決でしょう。ワクチンを接種しておくことで、おおむね感染は防げます。

ワクチン接種によって予防できる感染症の種類には「ジステンパー」「パルボウィルス感染症」「レプトスピラ症(2種)」「伝染症肝炎(アデノウィルスⅠ型)」「ケンネルコフ(アデノウィルスⅡ型)(パラインフルエンザ)」「犬コロナウィルス感染症」があります。

これらは混同ワクチンとして接種可能で、接種する注射の組み合わせは、これらの感染症全てを予防する「8種混合」と、地域や獣医によって予防する病気をセレクトして組み合わせる「7種混合」「5種混合」「3種混合」ワクチンがあります。生後2ヶ月前後に1回目の接種を行い、生後3ヶ月前後に2回目の接種を受けます。そしてその後、毎年1回接種するのが一般的です。

これらの予防接種は任意ですが、狂犬病のみ予防接種を受けることが飼い主の義務として法で定められています。狂犬病はヒトや犬を始め全ての哺乳類に感染する病気で、発症した場合には有効な治療法はなく多くは死に至ります。一部地域を除いては世界中で発症しており、毎年5万人以上の方が亡くなっています

日本では1950年に狂犬病予防法が施行されてから1957年以降、国内での感染は報告されていません。しかし輸入犬も増えているので、万が一に備えて必ず予防接種を受けましょう。

狂犬病予防接種は、生後3ヶ月以上に接種し、その後毎年1回ずつ接種しなければなりません。また、犬フィラリア症の予防は内服薬で行います。まずはミクロフィラリアが体内に存在しないか血液検査を行い、感染していないことがわかってから毎月1回服用します。

もしもミクロフィラリアが体内に大量に存在していた場合に薬により殺してしまうと、ミクロフィラリアが体内でつまってしまい重篤な症状を起こしかねないからです。服用期間は地域によって異なりますが、通常4~11月です。沖縄の場合は、通年服用する必要があります。

ほぼ100%の致死率「狂犬病」

狂犬病とは、狂犬病ウィルスによって発症する恐ろしい感染症です。犬だけでなく、人を含むすべての哺乳類に感染する病気で、感染すれば有効な治療法はなく、致死率はほぼ100%といわれています。感染した犬の唾液の中にウィルスが大量に含まれているため、狂犬病の犬に咬まれることで体内にウィルスが侵入し、感染します。ウィルスは咬まれた傷跡から末梢神経、中枢神経へと広がっていき、脳炎や骨髄炎などの障害を引き起こします。

狂犬病の予防にはワクチン接種が有効で、生後3ヶ月以上の犬に年1回のワクチン接種が義務づけられています。日本での狂犬病発症は昭和32年以降見られないものの、動物の輸入により狂犬病が日本に入ってくる可能性は十分に考えられますから、必ずワクチン接種を受けるようにしましょう。

犬の狂犬病の症状は「前駆期」「狂躁期」「麻痺期」の3つの期間に区分されます。「前駆期」では、食欲不振、発熱などが起こるほか、例えばこれまでおとなしかった犬が攻撃的になったり、友好的だった犬が大人しくなったりと、普段とは違う行動を起こすようになります。その後、狂躁期か、麻痺期へと突入していきます。

「狂躁期」では、過剰に興奮するようになり、小石や糞などの異物をむやみに食べ、攻撃性も高まり、目の前にある人や物など全てのものに噛みつくなど、狂犬の症状を表します。狂躁期に突入する犬が大半で、この時期に人や動物に噛みつくことで咬傷感染が多発するのです。顔つきも攻撃的になるのが特徴です。こういった症状が2~4日続いたのち、痙攣、昏睡、運動失調などの症状が現れ1~2日で死亡します。

「麻痺期」は、初期から急激に麻痺症状が進行し、数日で昏睡し死に至ります。狂犬病はほぼ死に至らしめる致命的な病気で、有効な治療法はないといわれています。人間にも感染し公衆衛生上の危険が高いため、狂犬病ウィルスに感染した犬は安楽死が選択されることが多いです。

万が一狂犬病と疑われる犬や動物に、犬が咬まれた場合はすぐに動物病院に搬送し、狂犬病ワクチンを再接種します。その後犬が狂犬病を発症するかどうか、経過観察を行います。

蚊による感染症「犬フィラリア症」

蚊が病原体を運ぶ感染症として知られているのが、「犬フィラリア症」です。その名の通り犬への感染が圧倒的に多いのですが、猫など他の動物も感染することがあります。フィラリアというのは、別名「犬糸状虫」という虫のこと。成虫はそうめんのような形をしていて、メスでは長さ30センチになり、動物の心臓や肺動脈に寄生します。

成虫は犬の体内でミクロフィラリアと呼ばれる幼虫を産み、その犬の血を蚊が吸い、蚊の体内でミクロフィラリアが成長すると、感染能力がある幼虫に成長します。幼虫を体内に持つ蚊が犬を刺したときに、蚊を通じて幼虫が犬の体内に入り、そして感染が成立します。

感染後すぐに症状が現れることはありません。3カ月ほどかけて、幼虫は皮下脂肪などで成長し、ある程度成長してから静脈や血管に入りこむようになり、感染してからおよそ半年後に心臓や肺動脈に住みつく成虫となります。そしてそこでミクロフィラリアを産み、蚊に運ばれるのを待つのです。こうして犬フィラリア症は犬と蚊の間を循環しているというわけです。

寄生された犬は血液循環がうまくいかなくなることで呼吸が苦しくなり、肝臓や腎臓にも影響が及びます。フィラリア成虫が1~2匹寄生しているだけでも呼吸に障害が起こり、何十匹ものフィラリアが団子状になり寄生すると命の危険があるでしょう。犬に感染してもすぐには症状が現れないため、気づいたときにはすでに重症というケースは少なくはありません

ぜーぜーと息があがったり、咳をしたり、息が浅く速いのが症状の出始めです。その後元気がなくなり、散歩の途中で座り込んだり途中で倒れこんだりすることもあります。そして嘔吐、貧血、血尿など徐々に重症になり、やがて心臓や肺などに機能不全が起こり、苦しんだ末に死に至ります。

じわじわと犬を苦しめる感染症なので、老衰だと思っている飼い主さんも多いようですが、成犬や老犬で呼吸が乱れ始めたらフィラリアを疑いましょう。フィラリアは予防接種をすれば確実に防げる病気ですから、早めに予防接種を行いましょう。予防薬には、錠剤やおやつ型など、様々なタイプがあります。

犬の感染症を検査する方法

犬の感染症の中には、感染しても無症状で、ただ病原菌をまきちらしてしまうものがあります。また、ただの風邪だと思ったのに、重篤な感染症である場合もあります。何か気になる症状が出ているのであれば、獣医に診察してもらうのが先決でしょう。とはいえ、獣医でも一目みただけではどんな病気にかかっているかはわかりませんから、まずは検査をする必要があります

たとえば、エキノコックスの場合。犬がエキノコックスに感染しても、通常は無症状です。普通の固形便に加えて粘性の便をしたり下痢をしたりすることもありますが、他に症状が出ないので気づかないことが多いといえるでしょう。エキノコックスの成虫が便とともに排出される例もありますが、非常に小さいため顕微鏡で観察しないと判別できません。感染しているかどうかは、獣医を介して検査を依頼する必要があります。

エキノコックスの検査は、便を5~10グラム程度送付し、あとは結果を待つだけです。命に関わるような感染症の場合、定期的に予防ワクチンを接種しておく必要がありますが、ただ予防薬を飲ませておけばいい、というわけではない感染症もあるので要注意です。

例えば、蚊が病原体を運ぶ感染症として知られている「フィラリア症」の場合。愛犬が感染しないように、予防薬を投与する必要がありますが、まずは犬フィラリアが寄生していないことを確認する必要があります。というのも、犬フィラリアが血液の中にたくさんいるにも関わらず予防薬を飲んでしまうと、薬で殺したフィラリアが血管につまってしまいショック症状などの副作用を起こす可能性があるからです。

フィラリアの検査は血液を用います。最近では、検査キットを用いて簡単に検査を行うことができるようになりました。採取した血液の中にミクロフィリアが生息していないか顕微鏡で調べます。フィラリアに感染している場合は、血液1滴の中に100匹ものミクロフィラリアが見つかることもあるそうです。

犬が感染症にかかったら、消毒は必須!

犬に感染する感染症の種類はさまざまです。感染しても症状が出ず気づかないまま治癒するものもありますし、感染したらすぐに症状が出て数日で死に至るような恐ろしい感染症もあります。中には、感染した犬が亡くなったあとにも、飼育環境で数ヶ月~1年間に渡り生き続けるウィルスもおり、他の犬を迎え入れた際にそのウィルスに感染してしまう恐れもあります

例えば、犬アデノウィルスによって起こるウィルス性の感染症として「犬伝染性肝炎」がありますが、1歳以下の子犬では比較的重篤な症状を示すことの多い感染病で、最悪の場合死に至ることがあります。このアデノウィルスは通常の環境の中では数日から数ヶ月間生存するため、感染犬と直接接触がなくても感染してしまう恐れがあるのです。

パルボウィルスも、自然界で半年~1年間そのままの状態で生存できるウィルスです。そのため、汚染された飼育環境の消毒が不十分な場合は、他の犬にも感染する恐れがあります。飼い犬が感染した場合、他の犬への感染を防ぐためにも、まずは病気の犬の隔離を行うのが先決。犬や犬の排泄物に触れた場合はよく手を洗って下さい。どこにウィルスが付着しているかわかりませんので、徹底的に飼育環境を消毒する必要があります

消毒は、塩素系消毒薬が比較的有効です。アルコール、クレゾール、逆性石鹸などはあまり効果が期待できません。また、ウィルスの量が多い場合は60℃で1時間加熱しても完全に死滅することはないようです。消毒液は、ハイターやブリーチなどの塩素系衣類用漂白剤20ccと水500ccを混ぜてつくります。ペットボトルでつくり、スプレー容器に入れ替えて犬舎にかけておくと便利です。

消毒液は、排泄物やエサで汚れている場所では効きにくいため、あらかじめ汚れをふき取ってから使用しましょう。通常、その感染症にかかった犬がいた場合は獣医から飼育環境の消毒の指導があるとは思いますが、愛犬の感染症についてはしっかりとリサーチしておくようにしましょう。

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