犬の細菌性膀胱炎|尿検査と再発時の確認

犬の細菌性膀胱炎では、何度も少量ずつ尿をする、血尿、排尿時の痛み、トイレの失敗などが見られます。ただし、同じ症状は結石や他の尿路の病気でも起こるため、尿の様子と検査結果を合わせて診断することが必要です。

特に、何度もいきむのに尿がほとんど出ない状態は緊急の相談が必要です。この記事では、受診前の観察、尿検査と培養、治療の進め方、繰り返す場合に調べることを説明します。

まず「少量ずつ出る」と「出ない」を分けて確認する

屋外で排尿姿勢を取る犬のイメージ
写真は通常の排尿姿勢のイメージで、細菌性膀胱炎の症例を示すものではありません。

トイレへ行く回数だけでは、膀胱炎の程度や尿が流れているかは分かりません。実際に尿が出ているか、一回量、最後にまとまって出た時刻、いきむ長さを見ます。

繰り返しいきむのに尿が出ない、数滴しか出ない、強い痛みや嘔吐・ぐったりを伴う場合は、すぐ動物病院へ連絡してください。

尿道が詰まっている可能性もあります。膀胱炎の薬が効くまで待つ、採尿できるまで待つ、という対応は避けます。

血尿、排尿痛、頻尿がある場合も早めに診てもらいます。発熱が疑われる、食欲が落ちる、吐く、元気がない場合は、膀胱だけの問題として扱わず、その変化も伝えてください。

頻尿と多尿は、記録する内容が違う

観察した状態 記録すること
少量を何度も出す 回数、一回量、いきみ、痛み、血の有無。
尿量自体が増えた 飲水の変化、大きな尿の回数、体重や食欲。
寝ている間などに漏れる 姿勢や時刻、漏れた量、通常の排尿との違い。
いきむが出ない 最後に出た時刻と全身状態を伝え、直ちに受診先を確認。

飲水と尿量そのものが増えている場合は、別の病気の評価が必要になることもあります。失敗した尿を叱るのではなく、普段と何が変わったかを見てください。

細菌性膀胱炎とは、膀胱で細菌が感染を起こしている状態

細菌性膀胱炎は尿路感染症の一つです。尿路は尿道から膀胱、さらに腎臓につながり、感染が起こる部位で病状や治療が異なります。細菌が入り込んでも、全ての犬が同じように発症するわけではありません。

結石、尿を十分に出せない状態、外陰部などの形の特徴、糖尿病などの病気、特定の薬の使用などが関係する場合があります。飼い主の掃除不足だけが原因と決めず、再発の背景まで確認します。

血尿や臭いだけでは、細菌性かどうかは分からない

膀胱や尿道の結石、腫瘍、他の炎症でも似た症状が起こります。尿が濁る、臭いが変わるといった変化は受診の材料ですが、自宅で感染の有無を確定する方法にはなりません。

人用の尿試験紙などで判定し、抗菌薬を買ったり水分を制限したりしないでください。尿の写真、普段との違い、薬の一覧を持参し、必要な検査を受けます。

尿検査と尿培養は、調べる目的が異なる

尿検査では尿の濃さや化学的な性状、赤血球、白血球、細菌、結晶などを調べます。尿沈渣の顕微鏡検査も含め、症状と合わせて感染や別の異常を評価します。

培養は菌を調べ、感受性検査は薬の選択を助ける

培養では尿中の菌を増やして調べ、薬剤感受性検査ではどの抗菌薬が効きそうかを確認します。再発、治療が効きにくい場合、過去に抗菌薬を使っている場合などは特に重要です。初回でも、病状に応じて検討します。

尿中に細菌が見えること、培養が陽性になること、症状を伴う感染があることは、完全に同じ意味ではありません。採尿時の混入や、症状のない細菌尿を区別する必要があります。

 

検査結果は、採尿方法・症状・これまでの治療と一緒に読むことで、治療が必要かの判断に役立ちます。

症状がない細菌尿は、一律に抗菌薬で治療しない

健診などで細菌が見つかっても、感染による症状がなければ、無症候性細菌尿として経過をみることがあります。例外的な病状もあるため、自己判断で放置するのでも、陽性だから必ず薬を使うのでもなく、治療の要否を獣医師へ確認します。

採尿は、受診先の案内を確認してから行う

家庭で自然に出た尿を採る方法と、病院で膀胱穿刺などにより採る方法があります。自然尿は外陰部や容器などから菌が混ざることがあり、特に培養では採尿方法が結果の解釈へ影響します。

どちらを使うかは目的と犬の状態によります。病院で採尿する予定なら、自宅の尿を無理に採ってから行く必要はありません。事前に「尿を持参するか」「来院前の排尿をどうするか」を聞いてください。痛がる犬に排尿を我慢させる判断はしません。

家庭で採るよう案内された場合に聞くこと

  • 使う容器と、採るときの方法。
  • どれくらいの量が必要か。
  • 採取から持参までの時間と、保存方法。
  • シーツや床から回収した尿を使えるか。
  • 採れなかった場合の来院方法。

採取時刻と容器、採り方を伝えます。床や使用済みシーツから絞った尿を、採尿用の検体と同じと考えないでください。また、検査のために腹部を押して尿を出す処置を自宅で行わないでください。

治療は、症状・菌・背景疾患に合わせて進める

症状を伴う細菌感染と診断された場合は、抗菌薬などを使います。痛みへの対応も必要になることがあります。全身状態に応じて、培養結果を待つか治療を始めるかを獣医師が判断し、結果によって薬を調整します。

期間は感染の状態や、腎臓・前立腺など他の部位への関与で変わります。前回長く飲んだから今回も同じ日数、再発だから必ず長期投薬、と決めるものではありません。

途中でよくなっても、薬を自己調整しない

処方された量と間隔を守り、終了予定と再診の条件を確認します。吐いた、飲ませ忘れた、食べないなどで投薬できないときは連絡してください。二回分をまとめて与えないでください。

症状が改善しない、悪化する、治療後すぐ戻る場合は、残っている薬を再開する前に病院へ伝えます。次の薬へ替えるだけでなく、培養や他の原因の評価が必要になることがあります。

再発したときに確認するのは、同じ感染か新しい感染か

治療後に同じような症状が出ても、前の菌が残った場合と、新たに感染した場合があります。培養結果や治療終了からの期間が、その区別の材料になります。

再発を繰り返す場合には、結石、膀胱や外陰部の形、尿が残る問題、糖尿病などの基礎疾患、使っている薬を確認します。必要に応じて血液検査、X線、超音波などを追加します。

再診へ持参する情報 分かること
過去の尿検査・培養報告書 菌と検査結果の推移。
薬名、開始日・終了日 症状と治療の時間関係。
よくなった日と再び変化した日 治療反応と再発の経過。
飲水、尿量、漏れ、持病の変化 感染を繰り返す背景の手がかり。

家では、水と排尿の機会を確保し、刺激の強いケアを避ける

水を飲める状態にし、無理に排尿を我慢させない生活を整えます。失敗を減らすために水を取り上げることはしません。一方で、水を強制的に大量に飲ませれば治るというものでもありません。

尿で汚れた皮膚や寝具は清潔にしますが、外陰部を強くこする、消毒剤を入れるなどの処置は避けます。持病に合わせた飲水や排泄の指示がある場合は、その計画を優先してください。

食事やサプリだけで治療を置き換えない

尿路用と表示されたフードやクランベリーなどのサプリを、細菌感染の治療の代わりにはしません。結石がある場合も、種類によって食事管理は異なります。尿を酸性にすればよいと考えて自己流で食品や薬を加えないでください。

再診と費用は、今回の感染に必要な内容で確認する

診察、尿検査、培養・感受性検査、薬、必要な画像検査を分けて見積もります。治療後の検尿や培養が必要かも病状で異なるため、全頭が必ず同じ間隔で繰り返す前提にはしません。

次の診察で確認するのは、症状が治まる見込みと、連絡すべき変化、薬の終了予定、再検査の要否です。家では排尿の回数と一回量、痛み、血尿、元気を短く記録し、予定日より前に異常が出たら病院へ知らせてください。

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