背中、腹、目の症状からの病気

愛犬の様子からどんな病気なのかをある程度予測することも出来ます。もちろんしっかりとした診察を動物病院でしてもらうべきですが、様子の違いは飼い主さんが発見する必要があります

ここでは症状として背中、腹、目などの異常でどんな病気の可能性があるのかを紹介しておきます。少しでも異変を感じたらすぐに動物病院に連れていきましょう。

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目が回る症状~考えられる犬の病気

犬が目を回ったように首をかしげ、くるくると同じ場所を回っているような症状が現れた場合、考えられる病気はいくつかありますが、もしかしたら「前庭炎」かもしれません。

前庭炎は、犬の耳の鼓膜の奥にある前庭神経が炎症を起こし、体のバランスが保てなくなる神経の病気です。人間でいうと、バットを額につけて下を向き、ぐるぐる回ったあとの状態に似た状態だといえます。

前庭神経は体の平衡感覚を司る神経なので、ここに支障が出たときに目が回ったり体のバランスが保てなくなったりするのです。

犬の耳の奥にある内耳神経の一部を前庭神経が司っているのですが、外耳で起こる何らかの炎症が前庭まで広がることで生じるケースや、耳に腫瘍ができ、それが前庭にも影響を及ぼした場合に発症しますが、詳しい原因はまだわかっていません。

ストレス、環境、気圧の変化など、さまざまな要因が複合的に絡み合っている可能性も考えられます

老犬に多いことから、老化現象も何らかの関わりが持っているともいえるでしょう。前庭炎は、急に発症することが多い病気です。

いつもと変わりなく生活していた犬が、突然頭を傾けるようになり、症状が進行するにつれ、ふらふらとするようになり真っすぐ歩けなくなりくるくる回転するような動作をし、さらに進行すると倒れてしまうことがあります。眼球が細かく震える「眼球震盪」が出ることもあります

治療は、副腎皮質ホルモン薬やビタミン剤を投与することで回復を待ちます。1週間程度で治ることが多いといわれています。外耳炎、中耳炎、内耳炎など、他の疾患が明らかな場合はまずその疾患の治療から行われます。

また「脳梗塞」や「脳腫瘍」も目が回る病気です。眼球が左から右に振れ、目がぐるぐると回り、歩行困難や食欲不振などを起こします。

目が回る、ぐるぐる回るなどといった症状が現れたら脳の病気であることも多いので、すぐに動物病院に連れていき、適切な治療を受けることが大切です。

犬の目が開かない!症状から考えられる病気とは

愛犬の目がある日突然開かなくなったら、飼い主としては心配で仕方ないでしょう。犬の目は、人間同様病気になることがあります。早めに発見して獣医さんに診てもらうことが大切です。

そもそも犬の目が健康な状態というのは、ある程度の涙でうるんでいる状態のこと。キラキラ輝く可愛らしい目が健康的な状態なのですが、これは乾燥を防ぐためです。

目が開かない状態というのは、目やその周辺に炎症が起きている、傷がついている状態でしょう。例えば、水晶体に傷がついているケースや、瞼の裏側に傷がついているケースなど、あらゆる可能性が考えられます。

原因としては、アレルギー性の皮膚炎、カビ、細菌、寄生虫などによる皮膚炎が引き金となり、ひっかいてしまうことで傷がつくことがあります。

また、散歩中に鋭利なもので傷をつける、犬同士でケンカをして傷がつくなどといったことも考えられます。犬が自分でひっかいてしまう場合は、エリザベスカラーなどに頼り物理的にかけなくするといいでしょう。

とはいえ、犬によってはとても嫌がりそれがストレスで他の疾患などを引き起こすこともあるので、その犬にあった対処法をする必要があります

目がしょぼしょぼして目やにが出ている場合は、「結膜炎」が考えられます。眼球の白目の部分から瞼の裏側に炎症が起き、腫れぼったくなり充血してくる病気で、涙が多くなり目やにが出ます。

病気としては、その他にも角膜円、ドライアイ、角膜潰瘍、緑内障、白内障などあらゆる目の病気が考えられますし、感染症や免疫異常の可能性もあります。

また、できものができている場合は「瞬膜腺突出(脱出)」かもしれません。一般的には「チェリーアイ」と呼ばれ、目頭の瞬膜線が外側に飛び出て真っ赤に腫れあがる病気です。

ビーグル、アメリカンコッカースパニエル、ボストンテリア、セントバーナード、チワワ、ブルドッグなどが遺伝的になりやすい犬種といわれており、一歳以下で発症することが多いようです。

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犬の背中にしこりが!考えられる病気とは

犬とスキンシップをとっていると、背中などにしこりがあることに気づくこともあるでしょう。人間でいうと、しこりができるとがんの可能性があるといわれていますから、不安に思う飼い主さんは少なくないはずです。しこりができる病気として、考えられるものをあげてみます。

・犬の脂肪腫
犬の脂肪腫は、主に腹部、胸部、内股、ワキの下などの皮下組織に脂肪のかたまりができる病気のことです。腫瘍は、楕円形で弾力があるのが特徴。最初は小さく、数年かけて徐々に大きくなっていきます。

脂肪腫は、良性なので深刻に考えることはありません。はっきりとした原因は今のところ不明ですが、主に老犬に多くみられます。外科手術によって切除すれば完治しますが、しばしば再発することがあります。

・犬の悪性リンパ腫
悪性リンパ腫は、体の免疫を担うリンパ球ががん化する病気のこと。体のどこのリンパに発症するかによって症状が異なります。「多中心型リンパ腫」では、股の内側、ひざの裏など、何カ所も腫れるほか、食欲低下や元気の消失といった症状が見られます。

悪化していくと、嘔吐や下痢がみられ、末期では免疫力が低下し肺炎や膀胱炎などを発症することがあります

消化器型リンパ腫」は、消化器のリンパ組織やリンパ節が腫れるもの。食欲不振などの消化器症状がみられます。「皮膚型リンパ腫」は、皮膚に腫瘍があらわれ、紅斑、脱毛など、さまざまな皮膚病を伴います。

・甲状腺がん
犬の背中、首のあたりにしこりがある場合に考えられるのが、甲状腺がんです。甲状腺は、甲状腺ホルモンを生成し分泌する機能がある部分で、体の代謝を調整しています。

甲状腺腫瘍には良性と悪性があります。良性の場合、時間がたつにつれ大きくなり甲状腺ホルモンの過剰生成を引き起こすことがあり、悪性の場合、ホルモン過剰生成を引き起こさないものの、癌細胞がほかの部位に広がる恐れがあります。悪性の場合は命に関わることとなるでしょう。

このように、しこりは良性のものから悪性のものまであるので、気づいたときに診察してもらうのが一番です。

背中や首あたりにしこりができることが多いのですが、診察をしてもらうまではどういった病気なのかはわかりません。日頃から愛犬のボディチェックを行っておきましょう。

犬のお腹の病気を症状から見てみよう

犬のお腹の調子が良くないとき、なんらかの病気を疑うと思います。症状にも、腹痛、下痢をする、お腹が膨れるなどといった症状がありますが、それぞれどのような病気が疑われるのでしょうか。症状別にチェックしてみましょう。

・お腹が膨れる
犬の拡張型心筋症」…心筋が正常に働かなくなる病気で、血液が全身に行きわたらなくなります。原因不明のことが多いのですが、中には基礎疾患によって二次的に生じることもあります。

お腹が膨れるといった症状のほかには、元気がなくなり、咳や浅い呼吸をするようになり、初期段階では時折失神することもあります。加齢にともない発症しやすくなります

犬の子宮蓄膿症」…子宮内に細菌感染が起こり、膿がお腹にたまってしまう病気のこと。下痢や嘔吐などもみられ、重症や急性症状の場合には、命に関わることがあります。放置していると尿毒症や腎不全を発症する恐れも。

犬のネフローゼ症候群」…何らかの原因により腎臓に障害が起き、尿中に大量のたんぱく質が漏れ出ている状態をいいます。

たんぱく尿が増えることで、低たんぱく血症が生じ、これに伴い高脂血症などの症状が認められます。予防は困難なので、定期的に尿検査を含めた健康診断を受けるようにしましょう。

・下痢をする
犬の瓜実条虫症」…瓜実条虫が寄生することによって起きる感染症。通常は無症状の場合が多いのですが、多数の瓜実条虫が寄生しているときには、激しい下痢を繰り返すことがあります。

予防のためには、瓜実条虫の駆除だけでなく、中間宿主であるノミの駆除も欠かせません。

犬のトキソプラズマ症」…トキソプラズマという原虫の寄生によって起こる感染症。基本的には無症状ですが、下痢や発熱がみられることがあり、免疫力が低下している犬の場合は、肺炎や肝炎、脳炎などの症状が引き起こされる場合があります。

犬の膵炎」…膵炎が自ら作る膵液によって消化されることで炎症を起こす病気です。症状は急性と慢性で異なり、急性の場合は腹痛、下痢、脱水を起こし、重症になると呼吸困難やショック症状を示すことがあり、命に関わります

慢性の場合は、急性に良く似た症状を軽度ではありますが繰り返し起こすようになります。他にも、お腹が膨れる病気や、下痢を起こす病気はありますので、このような症状がみられる場合にはすぐに動物病院につれていきましょう。

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症状から犬の病気を知る~水をたくさん飲む場合

愛犬が水を大量に飲むようになったら、何かの病気のサインかもしれません。動物病院で診察を受けるようにしましょう。こちらでは、水をたくさん飲む場合に考えられる病気と、他の症状についてご紹介します。

糖尿病」…糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンの分泌量が低下したり、十分に効かなくなったりする病気です。糖分を取り込めなくなり、血液中の糖分値が異常に高くなります

糖尿病になると、初期には血液中の糖分を排出しようとおしっこの回数が増え、水分をたっぷりと補給するようになります。

しかし糖分が正常に利用されないことで痩せていき、下痢や嘔吐なども見られ命に関わることも。予防のためには、犬を太らせないこと、過度なストレスを与えないことが大切です。

クッシング症候群」…別名、副腎皮質機能亢進症。副腎は脳下垂体からの指令により副腎皮質ホルモン「コンチゾール」を分泌していますが、脳下垂体や副腎に異常があることから過剰分泌されて起こる病気です。

老犬に多く見られます。多飲多尿が見られるほか、食欲増進、お腹の膨れ、動きたがらないなどといった症状が見られます。薬による治療が中心になりますが、場合によっては外科手術が適用されることもあります。

尿崩症」…体内の水分量を調整するための「抗利尿ホルモン」に異常をきたすことで起こる症状で、多飲多尿で、水を飲まないと簡単に脱水症状を起こします。

治療には、抗利尿ホルモン製剤の投与が行われるほか、食事療法も取り入れられることが大半。水分をしっかりと補給させることが大切です。子宮に膿がたまる子宮蓄膿症でも、尿崩症は起こります

慢性腎不全」…慢性腎不全の症状の中でも、比較的初期に現れるのが、多飲多尿の症状です。腎機能が低下することで水分を吸収できず、大量の尿となって排出されてしまい、その分補おうとどんどん水を飲みます。

病態が悪化するにつれ、食欲不振、体重減少、嘔吐、下痢がみられます。完治しない病気なので、症状を和らげ、進行を遅らせるための治療が施されます。

 

 

  

 

 

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