犬のMRI検査は、脳・脊髄・神経・軟部組織などを詳しく調べる高度画像検査です。一般的なレントゲンや超音波では分かりにくい病変を確認するために使われます。
費用を見るときは、MRIの撮影料だけで判断しないことが重要です。犬では検査中に動かないよう全身麻酔が必要になることが多く、麻酔前検査、麻酔管理、造影剤、画像診断料、追加部位、入院・処置などが別にかかる場合があります。
見積もりでは「MRI撮影料に何が含まれているか」を確認し、検査当日の総額で比較しましょう。
犬のMRI検査で費用に含まれやすい項目
費用は一つの金額だけでなく、内訳と追加条件を分けて見ると実際の負担を把握しやすくなります。
| 項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| 診察・神経学的検査 | MRIが必要か、撮影部位を決める |
| 麻酔前検査 | 血液検査、胸部評価など施設・状態により実施 |
| MRI撮影 | 頭部・頸部・胸腰部など撮影範囲を確認 |
| 全身麻酔 | 麻酔料が撮影料金に含まれるか確認 |
| 造影剤 | 必要な場合の追加料金を確認 |
| 画像診断・読影 | 専門医読影や画像診断料が別か確認 |
| 追加検査 | 脳脊髄液検査などが追加される場合 |
| 入院・点滴 | 麻酔後の経過観察や重症例で追加 |
MRI検査の料金は病院によって大きく異なる
動物医療は自由診療で、MRI検査の料金設定や「どこまで含むか」は施設ごとに異なります。
現在公開されている例では、烏城ペットクリニックは犬のMRI検査費用を体重別に71,500〜93,500円(税込、麻酔料込み)とし、造影剤は別料金と案内しています。
Neuro Vetsでは、MRI検査の目安を128,700円(税抜)〜とし、初診料、麻酔料、血液ガス検査料、造影剤を含むMRI検査料などが含まれるとしています。
ネオベッツVRセンターでは、MRI基本撮影118,400円(税込)〜、造影撮影129,950円(税込)〜と案内し、さらに初診料、診察料、血管確保留置料、MRI画像診断料などが必要になる場合があるとしています。
同じ「MRI 12万円」でも、麻酔・造影・画像診断・初診料まで含むのかで実際の支払額は変わります。
保険金請求例ではMRIだけで125,000円のケースもある
アニコム損保が公開している椎間板ヘルニアの保険金請求例では、MRI検査125,000円、全身麻酔15,000円、CT検査40,000円、入院費35,000円、手術費150,000円などが別項目として計上されています。
これは平均額ではなく一つの請求例ですが、MRI本体以外の診療費が積み上がることを理解する参考になります。
犬ではMRI検査に全身麻酔が必要になることが多い
Merck Veterinary Manualでは、MRIは撮影時間が長く、わずかな動きでも画像へ影響するため、小動物では全身麻酔下で行うとしています。
そのためMRI費用を確認するときは、撮影料だけでなく麻酔関連費用を確認します。
麻酔関連で確認したい項目
- 麻酔料がMRI料金に含まれるか
- 麻酔前の血液検査
- 静脈留置・点滴
- 気管挿管・酸素
- 心電図・血圧・SpO2などのモニタリング
- 麻酔後の回復管理
麻酔前検査が追加されることがある
麻酔を安全に行えるか評価するため、血液検査などを事前に行う場合があります。
高齢犬、心臓・呼吸器疾患、腎臓・肝臓疾患などがある場合は、胸部X線、心電図、心エコーなどを追加することもあります。
すでにかかりつけ医で検査を受けている場合、結果を持参すると重複検査を避けられる場合がありますが、検査日や状態によっては再検査が必要です。
造影剤を使うと追加料金になることがある
MRIでは、病変の性質や広がりを詳しく確認するため造影剤を使うことがあります。
造影剤が基本料金に含まれる施設もあれば、体重に応じて別料金になる施設もあります。
烏城ペットクリニックでは、造影剤を体重別の追加料金として案内しています。一方、Neuro VetsではMRI検査の目安料金に造影剤を含むとしています。
見積もりでは「造影が必要になった場合の追加額」と「最初から料金に含まれているか」を確認してください。
撮影部位が増えると費用が上がる場合がある
MRIは、頭部、頸部、胸部、腰部などを分けて撮影することがあります。
症状から撮影部位を絞れれば1部位で済むこともありますが、病変の位置がはっきりしない場合は複数部位を撮ることがあります。
烏城ペットクリニックでは追加部位1か所につき11,000円(税込)を案内しています。施設によって追加部位の料金体系は異なります。
MRIは脳・脊髄などの軟部組織の評価が得意
Merck Veterinary Manualでは、MRIは強い磁場と電波を用いて詳細な画像を作り、特に脳、脊髄、軟部組織の評価に有用としています。
- けいれん・意識変化など脳疾患が疑われる
- 麻痺・ふらつきなど脊髄疾患が疑われる
- 椎間板疾患・脊髄梗塞などの評価
- 神経学的検査で病変部位を絞った後の精査
MRIは「高額だから詳しい」というだけで選ぶ検査ではなく、症状と診察結果から必要性を判断します。
CTとMRIでは得意分野が異なる
CTはX線を使った断層画像で、骨、肺、鼻腔、複雑な骨折、腫瘍の広がりなどの評価に向いています。
MRIは脳・脊髄・神経・軟部組織の詳細評価に向いています。
病気によってはCTとMRIの両方が必要になることもありますが、最初から両方を受けるとは限りません。
脳脊髄液検査が追加されることがある
MRIで脳炎などが疑われる場合、脳脊髄液(CSF)検査を追加することがあります。
烏城ペットクリニックでも、MRI結果によって脳脊髄液検査、感染抗体検査、遺伝子検査、電気生理学的検査などが必要になる場合があると案内しています。
追加検査はMRI料金に含まれない場合があるため、事前に「MRI結果によって何が追加される可能性があるか」を確認します。
専門医・二次診療施設への紹介で初診料が別にかかることがある
MRI装置を持つ動物病院は限られるため、かかりつけ医から二次診療施設へ紹介されることがあります。
紹介先では、MRI検査料とは別に初診料・専門診察料・神経学的検査料などがかかる場合があります。
ネオベッツVRセンターでは、初診料7,150円(税込)+各診療科の診察料4,400円(税込)を案内しています。
紹介状・過去の画像を持参すると診療が進みやすい
紹介先には、かかりつけ医の紹介状、血液検査結果、X線画像、CT画像、服薬情報などを持参します。
ネオベッツVRセンターでも、主治医から預かった検査結果やレントゲン等を持参するよう案内しています。
検査を重複させないためだけでなく、「なぜMRIが必要と判断されたか」を紹介先へ正確に伝えるためにも重要です。
検査前は絶食・絶水を指示されることがある
全身麻酔を前提とするため、MRI前に絶食・絶水の指示が出ることがあります。
Neuro Vetsでは麻酔前の受診で12時間前までに食事を済ませ、3時間前から絶水と案内しています。ネオベッツVRセンターもMRIで来院12時間前から絶食、3時間前から絶水としています。
ただし、子犬、糖尿病治療中、持病のある犬などでは対応が変わることがあります。
自己判断で絶食時間を決めず、予約した施設からの指示を優先してください。
検査当日に帰宅できるかも確認する
状態が安定していれば麻酔から十分覚醒した後に当日帰宅できる施設もあります。
一方、神経症状が重い、麻酔後の観察が必要、追加検査・治療を行う場合は入院になることがあります。
見積もりでは「日帰り予定か」「入院になった場合の1日あたりの費用」も確認しておきます。
緊急MRIでは時間外費用が加わる場合がある
急な麻痺、意識障害、けいれん重積などでは、緊急でMRIを検討することがあります。
時間外・救急診察料、緊急麻酔、入院、追加治療が加わると、予定検査より総額が高くなることがあります。
ただし、緊急症状では費用確認のために受診を遅らせないことが重要です。
見積もりで必ず確認したい項目
受診や検査の前に整理しておくと役立つ項目を、優先度が分かる形で確認します。
【MRI見積もりチェックリスト】
- 初診料・専門診察料
- 神経学的検査料
- 麻酔前血液検査
- MRI基本撮影料
- 全身麻酔料
- 造影剤
- 追加部位の料金
- 画像診断・読影料
- 脳脊髄液など追加検査
- 点滴・注射・薬
- 入院費
- 再診・結果説明
特に「MRI撮影料○円」という表示を見たときは、上記のうち何が含まれているか確認します。
「MRIだけで診断が確定する」とは限らない
MRIは非常に有用な画像検査ですが、画像だけで病名が確定しないこともあります。
症状、神経学的検査、血液検査、MRI所見、必要な追加検査を組み合わせて診断します。
そのため、検査前には「MRIで何を確認したいのか」「結果によって治療方針がどう変わるのか」を獣医師へ確認すると、検査の目的を理解しやすくなります。
ペット保険はMRIが補償対象でも上限額に注意する
アニコム損保では、補償対象となる診療で行うMRI・CT検査は補償対象になるものの、手術扱いではなく通院または入院の支払限度額内で支払うと案内しています。
つまり「MRIが補償対象」であっても、検査費用の70%や50%がそのまま全額支払われるとは限りません。
- MRIが補償対象か
- 通院扱いか入院扱いか
- 1日あたりの支払上限
- 年間限度日数・回数
- 免責金額
- 既往症・待機期間
- 窓口精算か後日請求か
加入中の保険約款・保険会社へ事前に確認してください。
検査前に病院へ確認したい8項目
受診や検査の前に整理しておくと役立つ項目を、優先度が分かる形で確認します。
- MRIで何を調べるのか
- 撮影部位は何か
- 全身麻酔は必要か
- 基本料金に麻酔・造影が含まれるか
- 追加検査の可能性
- 絶食・絶水時間
- 当日帰宅か入院か
- 総額の概算と保険書類
MRIを受ける時期・受診前準備を確認したい場合
MRIがどんな症状で検討されるのか、受診前に何を準備するのかは次の記事で整理しています。



